おはようございます。相も変わらず、コロナの感染拡大はしているもののマーケットは楽観が支配をしています。

これだけの感染者数が増えれば、不安に思う方が経済活動をめいっぱいやるか、といえば答えは明らかにNOです。

人は不安を感じれば活動を低下させるものであり、どんなに強い人でもそれは同様です。心の片隅に感染者増大→いつ自身が感染するかもしれない?

というのは圧倒的な心理的圧迫要因になります。

現在の状況

株式市場の楽観を支配する状況は以下のグラフで説明できると何度も説明をしています。

上記はFRBの総資産(バランスシート)青い棒グラフ、黒い点線が株価になります。

FRBがヘリコプターマネーを行うたびに、株価は上昇し、その資産拡大の終了するとともに株価は下がっています。

先週、上昇したのは、既報の通り、上記のグラフには記されていませんが、先週からFRBの総資産が増えているためです。

ですから、先週、株価が反発をした、これだけの話になります。

今週も木曜日にFRBの資産買い入れ状況や、マネーサプライM2の発表があります。これらの数字が一番の注目になります。いろいろな経済指標が発表されると思いますが、この木曜日の数字を注視しなければいけません。

今、注目する数字は緩和の拡大が2週連続でおこなわれるか否かを、きちんと事実で判断しなければいけない、ということです。

では緩和が増加した場合の理由

そもそもFRBが先週に入って、なぜ、緩和の量を増大させたのか、ということを考えなければなりません。

しかし、ほとんどの人は、この緩和が今週も増えるのか、否かを考えるのです。そんなもの考えても、出鱈目な推測にしかなり得ないのはみなさんおわかりであってほしいと思います。

つまり、増やした原因もわからないのに、今週も増やすか否かもわかる訳がないのです。それをも考えもせずに、増える、増えない、の議論には立ち入るべきではありません。

では、FRBはなぜ、先週になって緩和量を増やしたのか、ということを考えます。

まず、FRBの考え方としては、事実をみて判断する、ということが基本の大前提条件になります。

先週に発表された経済統計、たとえば小売売上、フィラデルフィア、メトロポリタン、などの数字がありますが、どれもこれも悪い数字ではありません。

すなわち、ここには、緩和量を増やす要因はない、という推測が成り立ちます。

わずかに、雇用情勢、労働市場については弱くはないが、上記の指標と比較をすれば弱い状況にあるとは判断できます。

では、そこにFRBが緩和量を増やして、何の効果があるのかを考えてみると、個人のローンや借金をFRBが買い取ってくれるわけではありませんので、労働市場が原因でFRBが緩和量を増やしたわけではない、という推測も成り立つわけです。

つまり事実から見た場合、FRBが緩和を増やした理由は皆目、わからない、ということが言えるのです。

では、なぜ、FRBは緩和量を増やしたのか、ということです。

おそらく、未来に起こり得る危機を予見して予防的な処置と言えると思います。

まず、アメリカは現在、週600ドルの給付金を交付しています。この処置終了が7月末に到来をします。この延長を巡って、議会が20日、すなわち、本日から審議を開始する予定です。

そして例の如く、トランプがこの処置に個人の所得減税がふくまれていなければサインをしない、とジャブを打っています。

本当に面倒くさい、男、というのが素直な感想ですが、本人からすれば前回の大統領選挙からの公約ですから、次期大統領選挙に向けて有権者にアピールをしたいことがあるのでしょう。

このような発言をみていると、本当にこの審議が月末までに終了するか、疑わしいことになります。

この審議が、月末にかけて拗れるようであれば、おそらくマーケットの楽観は一気にすっとぶことになるでしょう。

そして給付が延長される、そして終了されるのにも関わらず、黒人差別のデモは増大することでしょう。

このデモや暴動は経済がきちんと稼働するまで食えない人たちを中心に拡大をするでしょう。これは経済活動の停滞の要因です。

さらに先週も触れましたが、リーマンのときも6月のソシエテの騒動から9月のリーマンまでが前哨戦です。

その間、マーケットは楽観に次ぐ、楽観で9月からの惨劇を招いたのです。企業の資金繰りはこれからが本番になる訳です。アメリカだけではなく日本もです。

そしてとどめは、ものすごく悪くなるGDPが7/30にある、ということです。

ですからFRBが今回、緩和を増やしているのは、予防的処置の可能性が非常に高い、それが確実に起こるということであれば、かなりの量を増やすと思うのですが、今回の場合は先々週の量くらいに拡大をしたということですから、その不安はあまりない、つまり現時点では本当に予防的措置という域は超えないと思います。

ただし、どこかで爆発的に増えた場合は、企業の資金繰りが本当にまずいということになりますので、その場合、マーケットは買いで対処するのではなく、上がりきったところを売りで対処をする、ということです。

これでドル円のテクニカルが円高に出ているということが説明できます。

ファンダメンタルズでは円安ですが、テクニカルで円高になるという正反対の方向の予測が出ることです。

この場合、煽情的な円高予測にみなさん乗りがちになりますが、基本は事実だけをみて判断すればいいだけ、という話です。