おはようございます。
ドル円は私からみれば訳のわからない動きですが、みなさんにとってはどうでしょうか? ただ、これはドル高、ドル安という視点でみているだけなのです。実際の動きは金利をみながら現在のマーケットは動いているのです。
今回は、グローバリズムのウソという視点で書いてみたいと思います。
トルコの実例
トルコはエルドアン大統領が去年の恐慌にも近いような状態で金利を下げろ、と騒いだことが独裁だのと無知蒙昧な人が騒いでいました。
現在の経済学の教科書では「不景気時には金利を下げて景気を立て直す」と書かれているのですが、実際、これは悉く失敗をしています。
たとえば、何度も破綻を繰り返すアルゼンチンなどはその典型で、これはIMFの言うことに従ったのみです。IMFは典型的なケインズ派になりますので、不景気時には金利を下げて、公共投資をせよ、と破綻した国家に指令を出します。
ところがアルゼンチンやインドネシアのようにIMFの言うことを聞いた国家は軒並み回復が遅れ、反対に言うことを聞かなかった韓国、中国などは飛躍的な発展を遂げています。
要するに、破綻間際の国家はIMFがケインズの教科書のように金利を上げるのですが、それが反対に資金の流出を招き、そして国内企業は金利高から倒産をするというのが実際のところです。
つまりトルコのエルドアン大統領は金利を下げることによって国内の企業を金利高から守り、その製造などを保護した結果、現在も国体を護持できていると思います。
世の専門家と称するプロを名乗る連中は、みな、一様に、中銀に介入するな、独裁だ、と喝破をしましたが、金利を上昇させれば余計にキャピタルフライトを呼び込み、逆に国体が危うくなるのです。
要するに、今の世界経済の認識など、ほとんどの人が認識を誤っているのです。しかも、過去の証拠からはその政策がまちがっているのにも関わらず、それが正しいと盲目的に信じているのです。
なぜ破たん寸前国家が利上げをするのが間違いなのか?
この答えは明快で、金利を上昇させれば企業活動が弱まります。なぜなら買掛などをするために銀行にお金を借りようとしても金利が高すぎて利益が出なくなるので倒産という選択肢を選ばざるを得ないのです。結果として産業が育たないとして、余計に資金が海外に流出するのです。
今までのケインズ派の教科書に書かれているのは、国外に資金を流出させないために、金利を引き上げるのが正解、とされていますが、実際に金利を上昇させたアルゼンチンやインドネシアは酷い目に合っているのです。でも、こんな実例があるのに、世の専門家は金利を上げろと唱和するのです。
これは何を意味するのかといえば、最近では言われなくなりましたが、総需要の不足なのです。要するに、工業化やIT化によってモノがあふれる時代になり、その供給に対して需要が追っつかない状態になっているのです。
破たん寸前の国家の企業活動が金利高によって弱まれば、その工場に勤めている人たちのお給料は支払われなくなり、消費という総需要が弱まるのです。全体の供給も減りますが需要はそれ以上に減るので、結果としてその国家は破綻に突き進む訳です。
先進国も同じで、供給は企業活動が好調な場合、いくらでも供給できますが、今は、供給などいくらでもできるのです。しかし、需要は、それに見合う分のお給料が支払われていませんので、増加が見込めなくなっているのです。
この状態は貧富の格差、人口の数パーセント程度が世界の富の9割を握っているということで表現されています。
結果としてグローバリズムが世界の総供給を大幅に拡大させましたが、需要はちっとも人口は増えているので増えると思われますが供給の増加に対して、需要がまったく伸びないということなのです。だから、物価は上昇をしないだけの話なのです。
つまり次の世界の課題というのは中間層や政府による富の再配分ということになってくるのですが、現在の日本やアメリカでも同じことですが、強欲な資本家が多すぎ、そしてその再配分を拒む人たちばかりなので非常に難しいのです。
日本に限っていえば、貧富の差が拡大しているのに社会保障は削り、大きな資本家である企業には法人税の減税を行う、これでは国が富む訳がありません。社会保障を厚くすれば、勝手に国民はお金を使います。結果として好景気になります。
働き方改革によって生産性の向上と政府は叫んでいますが、人口が減るのに対してその供給面を保護したら、景気が良くなると訳のわからないロジックを駆使しています。
私からみればバカ丸出しの政策です。需要を拡大しなければいけないのに、供給を拡大させようとしているのですから、方向性がそもそも間違っているのです。
つまり世界でも同じことが言えて、現在、好景気なのに人々が、景気が悪いと感じるのは総需要<総供給になっており、そこで企業が利潤を追求しても大幅な利益拡大など見込めないのです。無理なのに経営者は、株主のために利益を求めます。
だから、詐欺や強奪などが頻発するのです。20年前にオレオレ詐欺なんてありましたか? そんなものほとんどありません。利益が出ない世界になっているのに、利益を追及するから詐欺的な商売が許容されているのです。
たとえば、季節替わりですので抜け毛は多くなるのが当然ですが、CMは育毛剤の宣伝ばかり。季節的に抜け毛が多くなるのに、それを不安がり、購入する人は多いのでしょう。
私からみれば詐欺みたいなもん、と思います。自分さえ儲かれば、どんな商売をしてもよい、ということにはなりません。間違っていると思いますし、それを許容する世間も意味がわかりません。
つまり中間層を復活させないと国や世界の未来はないよ、ということなのです。儲かっているのは一部の人たちのみなのです。
企業の利益
アメリカの企業利益は、去年の2018/4-6月期よりも2019/4-6月期の方がおおくなっています。2019/5月に再び米中貿易戦争が勃発したのに、法人税が減税された2018/4-6月期よりも多いのです。
2018/7-9月期は最高益ですので、これを抜く可能性というのは決算発表からみるとその可能性は薄いかと思います。でも、不景気だと言いながら、利益は伸びているのですから、株が高くて当然の話です。
アメリカの場合は、企業利益の範囲内で従業員の賃金も上昇し、しかも従業員の賃金伸び率以下に物価上昇が抑えられているので誰の目にも景気が良いと映るのが当然なのです。
しかし、人種差別的な政策を掲げるトランプに支持が集まるのです。これは富みの再配分がアメリカでもうまくいっていない象徴でしょう。
要するに分断とか貧富の格差が広がっているのです。日本の格差もこのままいけばもっとひどくなるでしょう。
これからの動きは金利が注目される
トランプがFRBに対して金利を下げろ、下げろと叫ぶのは結局、賃金の上昇に対して、物価の上昇が追い付かなければ、結果としてアメリカの景気がよくなる、というのを今まで証明してきたのです。
トルコのエルドアンが金利を下げろと吠えるのと一緒のことです。
NZが5月に利下げをしましたが、これも同じ構図で、利下げというのは国内産業の保護なのです。利下げをして、近年、不景気に陥った国はありません。
日本も同様で、次回の日銀政策決定会合で金融緩和の可能性に関して黒田総裁は言明しましたけど、消費増税の影響が出れば、おそらく躊躇なくやるよ、と言っているだけのことです。
利下げは悪いことだ、というみなさんの認識がまちがっているのです。利下げは国力を減退させるのではなく反対に上昇させるというコンセンサスが正しいのに、利下げは景気が悪いというコンセンサスがまかり通っています。
要するにケインズが提唱したグローバリズムなどまだ始まったばかりで間違いだらけのことばかりなのです。こういう証拠を列挙していくと次にトランプや安倍が何をやってくるか、などはなんとなくわかってくるのです。
安倍は働き方改革なんて方向性を全く間違えた政策を行っているのですから、退陣をしないと晩節を汚すことになるでしょう。後任の菅のほうがまだまともな感覚をもっていると思います。結局、アメリカの後追いのような政策を行うでしょう。
ともかく金利など上りはしません。上げないことが良いことというコンセンサスに今後なっていくでしょう。日欧のマイナス金利も常態化し、アメリカの10年物国債の1.6前後もまだ下がると思っています。
債券のバブルが再びくるのではないか、と思います。MMTが本当に流行するかも、ということです。
かなり長めの視点で書きましたが、今のマーケットは金利の動向を読むことが非常に大事なことです。これまではドル高、ドル安をみておけば安泰でしたが、今後は金利になるということです。