おはようございます。
日銀の金融政策決定会合は、緩和見送りが大勢になっていますが、個人的には何をやってくるかわからない、とは考えています。その根拠をお話ししていきたいと思います。
緩和は継続方針
もう、お忘れの方は多いと思いますが、この黒田日銀が緩和を行ったのは2014/4月になります。一般的には黒田バズーカと呼ばれるものです。
この際に中央銀行のメッセージとして2年で2パーセントの物価上昇を目指すと言っているのです。この期限が2016/4月になりますが、みなさんもご存知のように、達成など一度もしていません。
つまり、この物価上昇2パーセントはすでに達成目途を6度も延長しており、もはや、意味をなさなくなっているということです。
この延長の要因は、消費増税やチャイナショック、トランプ就任によるアメリカの緩和停止方針などがあります。
このような未達の目標を何度も延長しても、苦しい言い訳にしか聞こえず、結果として国民にはそんなことは無理だろう、という感想しかなくなってきています。
最近の言い訳は、政策は全部出しているのに、デフレマインドが抜けきらないから2パーセントの物価上昇目標ができない、と言っています。このデフレマインドという言い訳を聞いた時点で、私などはもう、できっこないだろうな、とは思っています。
ただ、安倍首相や黒田総裁のコメントを精査していくと、もう、2パーセントの目標などにこだわっておらず、つまりこの巨額の緩和に対して放置するような言動が目立ってきているのです。
つまり、黒田さんが就任した当初から言ってきたことですが、この異常な緩和状態はいつか止めなければいけない、というのがコンセンサスだったのですが、もはや、アメリカもヨーロッパも緩和状態を放置している状態になっているのですから、日本も放置するという方針に方針変更になっているということです。
緩和は、当面の間、永続的に続ける、という方針にいろいろ調べていると変化をしていると思います。
実際、アメリカやヨーロッパの状態をみても、この緩和を辞める気があるのか? という側面でみても、止めたくても止められないという循環に入っていると思います。今、緩和を止めれば、世界経済は間違いなく傾くでしょう。
量から質への転換
緩和は当初、マーケットに資金を供給するという量でいく方針になっていましたが、追加緩和の決定によって何も経済指標がよくならないことによって、2016/1月にチャイナショックの影響を受けて、金利への転換を図りました。
これがマイナス金利の導入になります。同時に株式のETFなども購入によって、リスク資産の購入も始めています。
こうやって転換をしても、まったく物価上昇を上向くことなくさらなる物価上昇目標時期の延長に追い込まれています。
となると、こんどは何をやり始めたかといえばイールドカーブコントロールというものを始めたのですが、これも現在まで全く結果が出ていないことになっています。
現状の日本では、何をやっても、物価上昇など起こらない状態であり、どうしようもない状態になっています。結果として、黒田さんは、アナリストや専門家の知恵まで集め始め、総力を結集して物価上昇を目指すといい始めています。
つまり、日銀金融政策決定会合で、さまざまな新しいアイディアを立案実行する、と宣言をしているのです。要するに、新しい試みを日銀が行って、社会実験をしようとしているだけなのです。
よくよく考えていけば、マイナス金利導入によって金融機関の収支バランスが非常に悪くなっており、結果として日銀は金融機関の収支に配慮をした政策コントロールを行わざるを得なくなっています。
現在でも大手を含め、中小、地方の銀行という金融機関はゼロ金利の長期化によって極端に収益が悪化をしています。これを市場原理によって退場、廃業させて再び、平成9年から起こったような金融恐慌を起こす訳にはいかない、というのが日銀、金融庁の判断になります。
つまり量的な緩和を行っても、金利の緩和を行っても、結果が出ないのは今までのデータからは明らかなのです。一般的に言われていることは今回の日銀金融政策決定会合でやるとすればマイナス金利の深堀を行うというのがコンセンサスになります。しかし。収益の弱い金融機関を直撃してやりたくてもできないのが現状なのです。
その割に黒田さんは、先月からなんだか私には強気のコメントを残しているような気がします。つまり、なんかやるよ、と言っているような感じなのです。
私の予測が当たるかどうかはわかりませんが、出てくる政策というのは、伝統的な金利コントロールや量的コントロール、リスク資産の買い入れではなく新しい政策なのでしょうが、凡人の私には思い付きもしないものを用意しているのであろうな、と思います。
緩和見送りなどという安易な発想ではなく、なんらかある、と思ったほうが良いと思います。
何をやってくるかはわかりませんが、きのうもお話しをしたように、安倍―黒田ラインの命運は為替相場と推測され、その方向性は円安、ということです。