「テクニカル分析が古代キリストの時代からあった」というお話を前の記事でしました。

一見新しいイメージがあるテクニカル分析は、研究対象としては実は、ファンダメンルズ分析よりも古い歴史があったのだということ、お分かりいただけたと思います。

今回は、まずはテクニカルでトレーダーの潜在意識を読み解くヒントの話と、それに加えて「ファンダメンタルズを勉強する価値」についてのお話をしたいと思います。

移動平均線と太陽、月、星の関係

いきなり星占いや月の動きなどと言われても、占いは非科学的なものと考えて敬遠する男性は多いかもしれませんね。

しかし、もし太陽や月の動きが変われば地球上の生物は死亡する可能性があることや、ほんの微妙な変化があっただけでも、私達には実際に心理的変化が起こっているということを知れば、実は非科学的なものなのではなく、充分に研究対象となり得るものであることを理解できるのではないかと思います。

相場のチャートにおけるテクニカル分析において、最も重要なツールは「移動平均線」だということです。

平均線への値動きの集合と離散、この法則を知っておけばその相場の将来を占うことができると言われています。

「移動平均線」の設定をどうすればその将来が分かるようになるのか?は現代でも常に議論の的になりますが、その昔にも天動説や地動説の研究では論争を巻き起こしたのでしょう。

人間をはじめとした地球上のすべての生物は、地球の公転、自転によってその生命の運命を左右されます。

移動平均線の設定においてもこれをヒントに、太陽の周期に合わせたもの、月の周期に合わせたもの、そして星座の動きに合わせたものを選んでみると、たいていのマーケットにフィットすることになります。

現代社会では、太陽暦が採用されて24時間365日動いています。しかし過去にはなぜ、日本をはじめとして東アジア各国で大陰暦が採用されていたのでしょう?なぜ西洋では、星占いでの将来予測が行われていたのでしょう?

太陽は目に見えて分かりやすいものであるのに対し、月や星座は、潜在意識に訴えるものである、と考えるとその理由が見えてきます。

人間は、目に見えるものや言葉として発せられたものははっきりと認識することができますが「潜在意識」となると認識することはできません。

投資家の動きを移動平均線を使って読み解くにあたっては、太陽の周期だけでなく月や星座の周期の平均線を使えば、潜在意識の平均値も割り出すことができるのではないか、そして集合と離散も考えれば、方向性が見えてくるのではないだろうか・・・この話の根底にあるのは、コレです。

潜在意識の平均線の周期については、大陰暦や星占いなどを少々勉強する必要がありますが、勉強すれば設定値をどうすれいいのかもわかってくると思います。ただし設定するのにはさまざまなアイデアが必要であり、考え方によっても設定の仕方は変わると思います。

と、膨大な種類のテクニカル分析ツールがあるうち、たった、移動平均線の設定の仕方だけでもかなりの勉強をしなくてはならず、大変だと思われるかもしれません。

しかし最も重要と言われている「移動平均線」の設定の仕方を覚えられれば、テクニカル分析において現代の科学水準での最高峰のレベルに達することになるのではないかと思います。

占星術が実際に利用され、結果も出している

宇宙規模で相場を分析する、と考えると、月の満ち欠けが相場の動きに関連していると着目した分析方法や、占星術によるアストロロジーの的中率が不思議と高い理由が、理解できるようになるのではないかと思います。

「アストロロジー」は、占星術によって金融マーケットの将来を占うというもので、アメリカの「レイモンド・メリマン氏」によって考案されました。

投資日報社という出版社によって日本にも詳しく紹介されています。その精度の高さに絶大な支持をしている投資家も多いそうです。

なおすべての分析手法に言えることかもしれませんが、これらの分析方法をどう解釈して自分のトレードに生かしていくかは、投資家次第です。しかし少なくとも、どのようなサイクルでマーケットが動いているのかを知り、深く考えるきっかけにはなると思います。

テクニカル分析と機械は70~80%が最高値

なおテクニカル分析の的中率は「70~80%の水準が最高値」であると言われています。それ以上の的中率であれば、単なる「まぐれ」ということになります。

なお、残りの20~30%を自分の経験や勘で補うことは可能です。しかし売買システムやテクニカル分析では数学的な証明はできないため、機械に任せられるのはこれが限界なのです。

夢の技術ともてはやされ、多大な期待を担っているAIの精度も、実際のところは70~80%まででそれ以上にはならないと思います。

自動車の自動運転のような夢物語だったことが実際に成功しても、もしほんのわずかデータや設定が違ってしまったら、日本中だけでなく世界中で事故だらけになることは目に見えています。

AIだろうと、プログラミングや設定を行うのは「間違いを起こす人間」です。にもかかわらず、100%できると信じ込んでいる人が世の中にたくさんいることには少々違和感を覚えます。

的中率を知っているからこそ執行できない

テクニカル分析で、「日経平均が天井だ」と判断が出た場合、あなたは自信をもって空売りを仕掛けることができるでしょうか?「ドル円が天井だ」と示されたとき、自信を持って買い玉すべてに利食いをかけることができるでしょうか?

私個人の経験からいえば、その答えはノーです。なぜなら、その的中率が70~80%であることを、自分も知っているからですね。常に売りを仕掛けしながら、買い玉をホールドする作戦しか適用できないと思います。

しかし「ファンダメンタルズ分析の結果で残りの20~30パーセントの穴を埋めることができる」と、分析結果を信じて迷わずに適切な行動ができるようになるのです。

また普段から人として、正しいことをやっていけるかどうかの勇気も必要です。

「正しいことは勝つと知っている人」「こういう事象が起これば世の中はこうなるということを知っている人」は、正しい判断ができると思います。

少々、本題から脱線します

「生産性、効率性のみを重視していけば、世の中がおかしくなる。」このことは統計データ的にも確認されています。機械に任せて自分で考えなくなるから、昔なら人間が普通にできてやっていたことも、やらなくなってしまったり、できなくなったりしています。

それを打破するためにとさらに生産性、効率性が追及され、大事な顧客を傷つけても自社の利益を優先するような企業が増えています。

企業内部で働く社員も毎日、御意のとおり、とリストラ、経費削減におびえなければならない状態では、保身に入っていくのも当然でしょう。この保身とは自分のことしか考えないことです。

この状態が続く限り日本はよくなりません。一度壊滅的に日本経済がつぶれないとよくならないのではないかとも、私は個人的に思っています。

そんな企業にはいたくない、という人は組織に属さず、自分で世のため人のために活動をしたほうがよいでしょう。それができるのは「トレーダー」です。

トレーダーになると決めたら、常に世の中の理想の姿になるための方向性を決めて、そこに向かってトレードをするべきです。それがトレーダーとして長生きする秘訣だと思います。

昔の日本は、どんなに経済大国として世界的に評価されたとしても「所詮、四流国ですから」という謙虚な姿勢を保っていました。

日本は素晴らしい国だ、と心の中でも思っていても、口には出しません。この謙虚さが今の日本には大きく欠けています。昨今問題を起こしている企業群にも同様のことが言えます。

おかしいところに気づいて相場で優位になる

ファンダメンタルズを勉強すれば、日本のおかしいところがよく見えてきますし、バブル崩壊から日本の消費者がいかにないがしろにされてきたかにも気づくと思います。

しかしこれらはメディア的にはタブーとされていて一切報道されないことであるため、正しく事実を認識している日本人はたいへん少ないことでもあります。

日本のテレビは、日本政府が放送免許を発行していますから、報道内容もコメントも容易にコントロールできるわけです。

政府にとって都合がよい「株高、円安」との無難なコメントしかしないアナリストや専門家、芸能人以外は、出演ができません。

実際、そうでなかった私の知人のコメンテーターは、放送局へ出入り禁止にされてしまいました。

報道の自由が規制されているのは隣の国だけだと思っている方は多いと思いますが、日本こそが国によって情報を大いにコントロールされているのです。

日経や為替が弱い、という人は日本のマスコミにはほとんどおらず、私のような者が地道に円高、株安だと言い続けるしかないのです。

私は普段から「アベノミクスなんてただの蜃気楼だよ」と言っています。GDPの中の60パーセントは「個人消費」であるはずにもかかわらず、企業だけを優遇しているアベノミクスが本当に成功だとは、とても思えません。

成功をしているように見えていたとしても単に一過性のものであって、企業が正しいことをしなければ、また東日本震災直後のような意気消沈した日本に戻ることになるだろうと思います。

なにかのきっかけがあれば、「デフレで円高、株安」の日本にいつでも戻ってしまう状態にあるのです。このことを認識して優位な立場で相場に向かえるかどうかが、重要だと思います。

変わってしまった日本人の考え方

その昔「松下幸之助氏」がいた時代には、「企業は利益を追求し、そして利益は社会の成長を伴ったものではなければならない」という考え方でした。しかし現在は自分の企業だけが儲かればいい、という考え方に変わってしまっています。

その証拠とも言えるのは今の自動車業界です。嘘のデータを並べて自社の利益を伸ばし、最終的に損をするのは消費者になるように仕向ける。

社会を破壊するこのような行為を日本の大企業が行っているのです。日本経済がよくなるわけはないですよね。

なにかあったら補償をする、と企業はいいますが、対応によって会社が倒産するような大きな補償はしなくてもよいという政府の方針があります。

実際、倒産したのはエアバックの「タカタ」のみで、三菱や日産は生き残っていますよね。

随分と前置きが長くなってしまいましたが、ファンダメンタルズを学ぶ前の段階では重要な話になりますのでご容赦下さい。

そろそろ本題の「ファンダメンタルズ分析を勉強する価値」について述べていきましょう。

根拠の薄さを補完できるファンダメンタルズ

70~80%しか当たらないテクニカル分析の結果を頼り、そこへ自分の大事なお金をかけるのは無謀な行為と言えます。

その根拠のなさを補完するのが「ファンダメンタルズ」なのです。

私もまだまだ懸命にファンダメンタルズ分析を勉強している身ですが、そうしたほうが勝てる確率は高いのではないかと思っています。

為替の価格決定理論を理解しよう

また、別の記事でもご紹介した「為替の価格形成理論」が重要視されておらず、相場への活用の仕方も理解されていないため、ファンダメンタルズを上手に使いこなせていないだけだとも思います。

私は本サイトの中で「アメリカ>日本」のときは、円安ではなく円高になる」と解説しています。この不等号を一瞬見ただけでは「円安」が正しいように感じると思いますが、実際に動く方向は円高です。

そして、日本のドル円相場が円安になるための不等号は、「日本>アメリカ」となるはずなのですが、現在のファンダメンタルズにはその材料が一切ありません。

その一番よい例が「人口」です。アメリカは今後も人口が増え続けますが、日本は少子高齢化によって横ばいとなるか、減るかしかありません。

だから経済成長はアメリカに軍配が上がる。アメリカの人口増加は、2030年までどころか2050年まで続く見込みです。

出典:世界経済のネタ帳(アメリカと日本の人口推移)

政府の都合に従った論評に惑わされるな

このことは「2050年くらいまで円高傾向が続く」ことを意味します。ロジカルに考えると、ポジションは円高方向調整されるべきなのです。にもかかわらず、いまだに円安と信じている人は、政府の都合の良さに従った評論に惑わされているのでしょう。

日本政府としては円安になってもらわないと困ります。

嘘でも株価や日本経済は好調を示さなければなりません。このため、円安論者が送り込まれているのです。

日本のFX関連の情報発信には、こういったことを分かっている人が圧倒的に不足していると感じます。

だから投資家自身が各自でファンダメンタルズを勉強して、価格形成理論を学んだほうがよいのです。私個人的には価格形成理論を知っている人に今まで会ったことはありません。

ファンダメンタルズ分析で実際の相場がわかった例

ファンダメンタルズ分析のもう一つの良いところは「景気の浮き沈みが正確に分かるようになる」ことです。

これを書いているのは2017年の11月下旬ですが、その近辺の私のコラムは余裕綽綽だったのを覚えている方も少なくないと思います。

その前週辺りから既に「放っておけば、下がる」という論調になっていました。日本経済もアメリカ経済も、明らかにファンダメンタルズが悪化し始めていたのです。

アメリカについてはよく精査をしなければ分かりませんでしたが「日本は明らかに悪くなった」と分析できていたため、間もなく相場が下に向かうことが分かっていたのです。

これは単体での計算でしたので、アメリカも日本も株価が下がるのは分かっていました。

一方為替の方は「アメリカは曖昧でも日本は明らかに悪かった」という状態でした。

文意を等号不等号で表現すると「アメリカ>日本」となること、なんとなくお分かりいただけたでしょうか。 そして、「アメリカ>日本なら円高」と解説していたとおりに、為替は円高になりました。

もし逆の場合、アメリカが明らかに悪く日本はそれほどでもない場合には、「日本>アメリカ」になり、円安になるか横ばいとなるかの可能性もあったことも、お分かりいただけると思います。

相場において他の人よりも優位に立つためには

このように、「アメリカ>日本= 円高」や「日本>アメリカ= 円安」の式によって相場の方向はある程度分かります。しかし、日本の専門家はこのことを理解していない人がほとんどであるため、相場観の判断を間違えるのです。

ましてFXを始めて5年程度の人には、ほとんど理解できないことでしょう。だからといってあきらめるのではなく、皆が知らないことを勉強して、他の人よりも優位に立つことが重要です。

最初は分かりやすいテクニカル分析、でよいと思います。しかしこれまで説明したとおり、どんなに極めても的中率は70~80%を超えられないのです。FXの上級者になって行くには、その残りの的中率をファンダメンタルズの勉強で補うのがよいと思います。

世界的に著名な投資家である「ジョージ・ソロス」や「ウォーレン・バフェット氏」はテクニカル分析に懐疑的でファンダメンタルズ分析に熱心です。第二の彼らを目指すなら彼らを知ることです。

二人とも、学者以上に数学に詳しく、誰よりも道徳家で、そしてモラル家です。人類の成長を心より信じていて、その発想はたいへんシンプルです。

テクニカル分析だけで財を築いた人間はいない

株とは、景気がいいから上昇するものです。景気が悪いと基本的には上昇しません。

景気がいい、悪いと判断する材料は経済指標というファンダメンタルズであって、株価はそれに沿って動くものです。景気が悪い状態でも株価が上昇することをバブルといい、基本から外れる例外で、マーケットが景気の状態の認識を間違えている時に発生します。

現在は「ビットコイン」がその状態にあたります。初心者でも誰でも簡単に儲かる状態になり、巷には「にわかプロ」がたくさん誕生します。

きっとこの先来年にかけては「ビットコインで1億円儲かる方法」といった商材や本がたくさん出るのではないかと思います。しかし著者の皆さん、2~3年後にも果たしてまだ生き残っているでしょうか。

テクニカル分析に主眼を置いて財産を築いた人など今まで一人もいません。一時的に財を成したとしてもいつか消えてしまう、20年の相場経験ではそうなってしまうことがほとんどです。

景気の良し悪しまでは表現できないテクニカル分析では、「まだまだ景気の拡大が続く」というときにも強烈な売りサインが出たりします。

これを実際に大々的に託宣した200日移動平均で知られるアメリカの経済記者は、その後から現在までも全米で詐欺師呼ばわりされてしまっています。

テクニカルで一度成功した人たちが、ファンダメンタルズを敬遠しがちなのは残念なことです。このやり方で成功したのだから、これからわざわざ新しく難しいものを勉強したくない、という楽な選択をするためです。

時代とともに変遷する相場において、やり方が相場とずれてきていることに気づかず、あるとき大きく資金を失うというのが決まったパターンであるにもかかわらず・・・。

ファンダメンタルズ分析はまだまだ発展する

日本にはファンダメンタルズに詳しい人は本当に少ないです。わずかにいるのは債券のトレーダーですが、彼らのほとんどは日本銀行の大量買いによって失業状態にあり、公に出てくることはほとんどないそうです。

推す人も少ないことから、ますますファンダメンタルズを勉強する機会がなくなっている状態です。しかしファンダメンタルズが分かることと経済の状態が分かることはイコールです。

さらにその結果、相場やマーケットが分かることとも同じです。ファンダメンタルズが分かれば、テクニカルだけの人たちより「圧倒的に優位になれる」私はそう信じています。

テクニカル分析のほうがより優れていると思われる方は、ご自分の道を邁進されるとよいでしょう。

しかし私は、テクニカル分析の上限はもう見えている。

ここから先のテクニカルは、新しい研究、論文が出るまでは発展しようがないと思っています。研究する人が少ないファンダメンタルズは、これからまだまだ発展の余地があると思います。

特に女性には向いている分野であると思います。テクニカル分析しかしない女性投資家も多いと思いますが、ファンダメンタルズを知っている女性、例えばテレビなどで女性の債券トレーダーをみると、ものすごい視点をしていると感心させられることがよくあります。

男性は理屈っぽい人が多く、女性のように分かりやすくできないところがあってダメですね。他人に分かるように説明できることも、学習手段として有効であり肝心なことだと思います。