株式投資の専門用語で「ファンダメンタルズ」といえば、「企業の業績や決算の情報」等を意味すると思います。専門家も含めて「業績好調でファンダメンタルズがいい」などと言いますよね。しかし、本来のファンダメンタルズの意味は、異なります。

巷でも、株の適正価格を測ることがファンダメンタルズであると解説されているのが一般的で、私も過去にそのような本をさんざん買い漁って読破したものです。

しかし正しい知識を得た今、一言で「ファンダメンタルズとは」を解説すると、「経済の最低の単位は国家であり、その国家の盛衰を知るためのマクロ経済学の総称」…かなり短絡的かもしれませんが、そういうことだと考えています。

ちなみに、企業の経営実態や業績は、1社だけ栄華を極めても日本全体には影響がありません。この小さな単位である1企業や1個人、1家計の研究のことは「ミクロ経済学」といいます。

このマクロとミクロの違いは重要ですので、覚えておいてください。

ミクロ経済学とマクロ経済学

株の決算、業績、株価は、本来はファンダメンタルズなのではなく、「ミクロ経済学」です。

1企業や1家計の小さな単位の経済が「ミクロ」で、それらをまとめた国全体の経済は「マクロ」です。そしてマクロ経済学の別名が「ファンダメンタルズ」です。

現在の日本経済は、企業だけが業績好調で、個人と家計は良くなっていません。なぜダメなのか、それが分かれば株式やFXで投資するべき正しい方向性も見えてくるというものです。日本株への長期投資や、円安期待のポジションで運用することは正しくないと分かってくるはずです。

学説でのファンダメンタルズによると、国の盛衰を握っているのは個人の家計、消費者です。

企業主体でお金を稼ぎ出しても、個人に還元しなければ日本経済の復活はありえません。しかし現在の日本は企業主体で、稼いだお金の循環も止まっているため、よくならないのです。

このような国家全体のこと、また為替相場を長期的に見れば円安にはならないだろうということも、ファンダメンタルズを勉強すれば分かることになります。

テクニカル分析では得られないことが分かる

相場の分析方法では昨今、テクニカル分析が流行っています。しかし私は、テクニカル分析は基本的に根拠が薄弱であると考えており、ファンダメンタルズ分析がいかに優れているかを体感しています。

私はテクニカル分析もしますが、過去にリーマンショックの崩落やアベノミクスの誕生などを事前に予測できたことには、やはりファンダメンタルズ分析が決定打となっています。

景気の低迷や浮揚の状態は、ファンダメンタルズによって誰もが納得できる内容が見えるものであり、テクニカル分析ではほとんどの人には見えません。

「相場は花の咲く道を行け」と言われるように、コンセンサスによって得られる相場観が大きな利益を生み出します。

しかしその浮かれすぎの状態から、ふと裏道に視点を移してみると、そこにもまた大きな利益の可能性が隠れていることがあります。そして、昔から大きな利益は隙間から生まれるということもまた事実です。このようなバランス感覚は、テクニカル分析だけしていると絶対に得られません。

今のアベノミクス相場は、いつかは崩壊することになりますが、これをテクニカルで説明し予想ができるか?といえば、できるわけがありません。しかしファンダメンタルズ分析を勉強すれば、できるようになるのです。

相場で生き残るためにファンダメンタルズ分析を

テクニカル分析にはさまざまなツールがありますが、画期的なツールが開発されて一世を風靡したとしても、必ず消えていっています。

画期的なトレードをしていると一時頻繁にメディアに取り上げられた人たちも、必ず消えていっています。

これは、テクニカル分析だけでは当たり外れの盛衰があり、必ず「外れる」ときが訪れるからです。我が世の春を謳歌できるのは結局のところ、過去の経験では5年が限度と考えています。

「相場で生き残りたかったら、ファンダメンタルズを勉強しなさい」というのが現時点での私の結論です。テクニカル分析ももちろん使ってよいのですが、このほかにファンダメンタルズ分析もできるようになれば、相場で生き残れる年数は大幅に伸びるはずです。