おはようございます。木曜日、消費者物価指数(インフレ指数、CPI)が予測通り上昇しました。

金曜日に、発表された卸売物価指数(企業物価指数)も上昇をしています。その解説と今後の展望について考えていきます。

物価指数とは

物価指数というのは、GDPが値段の集合体なのですから、物価が上昇をするとGDPが上昇をするという概念になります。

その物価指数には主に、消費者物価指数と卸売物価指数があります。卸売物価指数というのは、主に工場からの出荷価格、サービス業の場合はほとんどが人件費になると考えることができます。サービス業の場合、商品は人であり、人件費の上昇がその出荷価格を押し上げるからです。

一方で消費者物価指数というのは、みなさんがスーパーやコンビニで手に取る商品価格のことであり、この値段の上下動を消費者物価指数、インフレ指数、CPIと言ったります。

なお、アメリカではFRBはPCE価格というのを物価指標としており、これは広義の消費者物価指数と一緒のことになります。しかし、消費者物価指数には含まれない、税金や社会保障料金などが含まれていますので、その物価動向をより広範にみることができます。

この物価指数で一番、大事なことは、消費者物価指数が値段の上下動に実際に反映されるのは価格の低下から6か月遅れ、卸売物価指数は3か月遅れということになります。

このことをFRBが知らない訳がないのですが、FRBは物価の上昇が緩慢である、と言っているのがおそらくトランプリスクとの闘いになっているのだろうな、と考えています。

つまり、利下げの根拠としてトランプに提示をするが、トランプはそんなことは知らない、だからトランプは満足をする、しかし、実際に物価が上昇をしているので利下げを取りやめるという構図なのかな、と思っています。

そもそも、トランプの要求というのは大統領選挙を控え、利下げと雇用増が彼の基本要求です。これは歴代の大統領もおなじで、別にトランプが風変りな訳ではありません。

ただ、歴代の大統領は影に廻ってこっそりとやるだけの話であって、トランプのように表で金利を下げろ、なんて下品なことはしないだけの話です。

でも、私は実際にやるのは中央銀行のできる2つの選択肢、①金利の引き下げ②お金をばらまく、のうちの②を行うと思っているのです。②をやればマネーが市場に溢れ、その価値が下がるのですから自動的に金利は上昇をする、ということです。これでは、トランプの意には沿っていないことになります。

その辺がちっともロジカルではなく、シナリオとしては未完成だな、と思います。

とりあえず、金利の引き下げをしたらバブル発生は間違いないことであり、そんなことはFRBもやりたくないはずなのです。それを敢行する? となると将来の米国の本格的リセッションを覚悟しなければならなくなります。

現状のアメリカは誰がやっても、放っておいても景気がよくなるのをわざわざ悪くする方に行かせるのか、いくらなんでもトランプの性格を考えてもそんなことはできないでしょう。大きく悩むところです。

金曜日の卸売物価指数

年率でコンセンサスが1.7で結果も1.7です。予想通りでした。

注目は、きのう、12月の原油価格が安かったという話をしましたが、PPIのその3か月遅れである3月の数字をみれば明らかですが、2月とくらべ物価の上昇が著しい訳です。

日本も物価の上昇は円安と原油次第の側面がありますが、アメリカも同様だということです。

また、言えることは、この物価の低迷は12月に40ドル台だった原油が、現在60ドル前後なのですから、物価の低迷が長く続くわけがない、ということです。

そのうえに貿易摩擦の結果、廉価な中国製品はもう入ってこないのですから何れ、物価の上昇は酷いことになるでしょう。具体的には2年後というのは実証されています。2019/5から制裁を開始したと考えると2021/5以降に物価はひどく上昇することいなります。

また、法人税減税の効果も2018/1スタートで2年後ですから、来年のアメリカの景気は手が付けられないことになります。

日本の法人税減税は2016/4ですから去年の2018/4から大きく景気が上昇するはずだったのですが、多くの自然災害によってとん挫しているのです。

ですから、今年は日本経済が放っておいてもよくなるのです。だから、消費増税も去年の時点で自然災害の発生や中国経済の鈍化によっても、行うことはわかっていたのです。

もっといえば、今の日本の実効為替レートの上昇というものも、中国からアメリカへの迂回輸出の結果ではなく日本経済の実力が戻っているから、と分析できるのですが、現在の実効為替レートの上昇は報復関税回避の迂回輸出増大によって上昇していると思うと痛い目に合うと思っています。

つまり、すぐに結果がほしい、目に見える結果がほしいということになると、この3か月後、6か月後、2年後の材料などすぐに忘れてしまうのです。

あなたの相場技術がきのうは全然ダメだったのに、翌日には天才になっていることはないように、そういった進歩というのはゆっくり起こるものなのです。

政策も即効性のあるものばかりが注目されますが、その効果は早くても1年はかかるのが通常であり、そんなに早くは効果など出ないものです。トランプが2018/1に減税を行うというのは、結局、2020年の大統領選挙をみて実施した、とみるのが妥当な見方だと私は思います。

アメリカも日本もこれから景気がよくなる、という見方は変わりませんが、その前に間違った金利低下を訂正する場面にて相場が荒れる展開を予測しています。