おはようございます。
8月の下旬くらいから米中にフォーカスされているマーケットが中東に移行すると言っていましたが、待てど、暮らせど、来ず。
ようやく、イスラエルの総選挙2日前になってからフーシ派がサウジを攻撃との報です。
サウジ攻撃の意味
言うまでもなくイスラエル総選挙を控えて、何らかのアクションがあるはずという私の思い込みになりますが、ようやく来たか、という感想です。
サウジとイスラエルはアメリカの中東における同盟国になります。今回のイランへの圧力を増すということは結局、トランプの選挙を控え、そのプレッシャーを大きくするのはイランがイスラエルせん滅を国是としているから当然の帰結だろうと推測しています。
トランプはさまざまなイスラエルロビーの中から、本来、民主党支持のイスラエル票を獲得したいという思惑があります。
そもそも今回のイランへの圧力増大に何の根拠もなく、もちろん、私が知らない可能性もあるのですが、誰も、なぜ、アメリカがイランにいきなりプレッシャーを増したのは上手く説明ができません。
一方のイランはホメイニ革命以来、イスラエルのせん滅が目的の国家なのですから、トランプの娘婿の中東和平案など到底、受けいれられるはずもなく、結果としてはヒズボラなどを支援しています(公式には否定)。
ただし、以前も解説をしましたがイラン政府とイラン革命防衛軍は政府の管轄にあるのではなくイランの最高指導者の支配下にイラン革命軍はあるのです。
つまりイラン政府が、いくらヒズボラやフーシ派を支援していないと言うことを疑っても、イラン政府が応援をしていないのは事実でしょう。実際に支援をしているのは最高指導者になるのですから。
つまりイランは二重権力構造になっているところが日本とは全く違うところです。
今回のサウジへの攻撃も、イエメンのフーシ派が犯行声明を出しましたが、フーシ派にドローンのような攻撃能力があるかに関しては非常に疑問です。国際社会の疑念通り、その犯人はみなさんのご想像通りだと思います。
マクロンがサミットで大活躍をしましたが、結局、イランとアメリカの会談は実現せず。ダボス会議も動いたようですが、失敗に終わったような感があります。イランの立場としては、アメリカが制裁を解かなければ、会談はしないという基本方針は堅持しているようです。
この帰結を受けて
NHKニュースでも速報で流れましたが、原油価格が15パーセント高です。変わりに円高、株安に流れています。
やはり、中東の情勢は世界の情勢になってきます。米中などのローカルなニュースと重要度が違います。
参考までに、トランプが中国への制裁を言い出したのは株の戻り高値のときです。週末は民主党の候補者演説会が開かれましたが、本命のバイデンは揺らがずという動きだと思います。
昨今、ポピュリズムが非合理的で議論に値しない、という方が増えていますし、また専門家もそれをあおるような動きになってきています。
しかし、トランプが白人労働者の支持を受けて大統領になったことをみれば決して看過できないのです、ポピュリズムは。日本は労働者階級と中間層の差がほとんどないのであまり注目されませんが、世界ではこの流れは新興国から始まり、それが先進国に波及しているのが実際のところです。
つまりこのポピュリズムが今後、退廃していく可能性は現時点ではその可能性は極めて少ない、と私は断じています。行き過ぎたグローバリズムが否定されてきていることが事実だと私は個人的には思っています。
そのデリバティブに当たるAIなどの数字信奉論も、結局、数字をみればアメリカが悪いように見えるのが専門家の見立てですが、私からみれば何をデタラメばかり言っているのだ、というのが本音です。結局、間違った見方が世界を支配している、と個人的に思います。
このインターネット革命から始まった、合理主義、グローバリズムはまさにいま、過渡期にきていると思います。イギリスのボリスジョンソンなどの登場でも見て取れることです。かといってグローバリズムが退廃するということもないでしょう。
話を元に戻すと、トランプは株価が戻り高値にきているときに米中暫定合意を発言しているということは、この秋の低迷期を株価が下がらずに乗り切ろうとしていることの証左になると思っています。
米中の合意などは、まず、暫定は成立しても、本格的な合意は成立しないでしょう。つまり、株価のほぼ戻り高値、円の戻り高値はほぼ確定した、と思っています。
欧米などの紙面をみている人はおわかりになりますが、欧米の紙面の国際情勢はほとんどが中東情勢です。この影響がモロにマーケットに出ます。米中などローカルにしかすぎません。
では、今後の中東情勢がどうなるのか、ということになります。まず、イスラエルの総選挙にしても、かなりの接戦で見立てが乱立をしています。
仮にネタニヤフが連立によって過半数を維持してもネタニヤフは奥さんの汚職疑惑によって起訴される可能性がかなり大きく、政情は不安定化するでしょう。もちろん、ネタニヤフが負けたとしても不安定でしょう。
そこで、イランは今回のサウジ攻撃のように、アメリカおよび、同盟国に対して挑発的な態度を取り続けることでしょう。
救いは、強硬派のボルトンが解任されたことです。彼は戦争も辞さないような強硬派でしたがそれが排除されたことは危機を回避する一助になったでしょう。
もっともトランプが平和主義者であるのですから、その回避は起こる可能性は高いのですが、レッドラインを米軍に死傷者が出たとき、と言っている点を遵守するのか、どうかも焦点になります。
参考までにオバマはシリアの際にレッドラインを自ら設定し、自ら破っていますので、このレッドラインに意味があるかというと甚だ疑問になります。トランプの言動がコロコロ変わることをみればそのリスクは増している、ということができると思います。
つまり何とも言えない、ということです。
なんとも言えない、ということは、マーケットはどうなるのか、ということです。これは9月中には解決をしないでしょうが、トランプは11月までに意地になって解決を図ることでしょう。
その理由は12月からアメリカの景気がものすごくよくなるからです。現在のように、専門家が景気は良いのに悪いなどと言うことなく、おそらくアメリカ経済ウォッチャーがこぞって良いと言い始めるのです。
トランプはそのスタート台を高くしようとしているだけです。イランは、トランプの支援などせずにイスラエルの政情不安に乗じてという思惑があるでしょう。
この妥結がトランプは直接会談と言っていますが、この状況が11月まで続くなど現況では思いません。もう少し派手なことが起こるのではないか、とは考えています。