おはようございます。

きのうのISMに続き、本日はADPはNY景況感指数が悪いことで続落をしました。今回はADPの解説と今後のマーケットについて解説をしていきます。

きのうの動き

まず、きちんと覚えておかなければいけないのは、きのうのISMの悪い結果というのは翌営業日の寄り付きまで影響を受けるということです。

この場合、日本の経済指標に重要なものがなかった場合ですが、ある場合はそれを考慮して考えることが必要です。

つまりきのう、9/2のNY株式市場寄り付きまでは円高傾向というのはよほどのことがなければ変わりません。それだけのことです。そして、9/2の経済指標に注目が移行するのです。これがオーソドックスな見方だと私は思っています。

 

ADP雇用統計

上記はADP雇用統計過去5年分になります。

まず、忘れてはならないのは、アメリカは完全雇用になる訳です。完全雇用というのはほとんどの人が求職をしていない状態のことを指します。

アメリカの場合は失業率が5パーセント(?)以下の状態を完全雇用と言いますので、現在は完全雇用状態になります。

すなわち、新規雇用の人はほとんどいない状態であり、ほんとどの方がスキルアップを狙った転職なのであろう、と推測されます。この場合、お給料が増えるといっても、失業状態からお給料が出るのと、そもそもお給料があるのが増えるのではベース金額が違う、ということです。

よく雇用統計で新規雇用20万人が好不況の分かれ目と言われますが、現在の状況では20万人など無理な話です。ほとんどの人が失業していたリーマン直後と現在で設定条件が同じということに疑問を持たない人が多すぎるのです。

つまり雇用などは現在の注目ではなく、現在の注目は、お給料がどれだけあがったか、ということなのです。ですからADPなど私からすればどうでもいい数字なのですが、何か、知らないけどマーケットは注目をしているのです。この意味がわかる人は教えてほしいということです。

では、今回の解説になります。

2018年と2019年の雇用情勢は明らかに違います。この点はほかの企業や政府の部門と同じで去年よりも数字は悪いです。

そもそも完全雇用なのですから、求職者に対して、新規の募集が少ないと考えるのが普通ですが、JLOTSなどの各種指標をみると募集は過去最高という数字が続いているのが現状です。それに対して応募が少ない、というのが現状です。

この状態でトランプが移民制限を行えば、実際にもう行っていますが、人出不足に拍車がかかることになります。

こういう状態になるとお給料が上昇していきます。理由は人手不足なのですから。そして、今度は物価上昇になっていくのですが、今回の場合は、物価が下がるという摩訶不思議な現象が起こっており、経済学者はみなこの点に悩む訳です。

私の結論というのは、結局、2000年以前のIT革命以前は、総供給が常に不足している状態でしたが、現在では総需要が常に不足をしている状態です。

つまりモノで溢れかえっている社会になります。つまり過剰供給が、世界を苦しめていることになのでしょう。

結果として商品の需給ひっ迫が起こらず、物価が上昇をしないということです。

 

ADPと雇用統計の違い

この違いを知らない人が案外多いので解説をしておきます。

まず、ADPというのは民間会社で調査対象はアメリカ全土になります。このADPという会社は給料計算のアウトソーシング会社であり、全米の会社がADPの給料計算に委託をしています。その計算結果の概要を発表しているのがADP雇用統計になります。

一方で雇用統計は、みなさん驚かれるかもしれませんが、サンプル数は確か、ウロ覚えなので信用しないでほしいのですが、5000人程度です。

つまりデータとしての信用性は全米を対象としたADPなのですが、政府発表が公式統計になりますので雇用統計のほうが重視されているだけの話です。

個人的な意見としては、ADPのほうが現状を言い表していると思います。去年より景気が悪いのだから、雇用も減って当然です。すなわち転職市場もわずかばかりのお給料アップを狙う人が多数であり、活況とはいえないでしょう。

去年よりもお給料の原資である利益が自動的に減るのに、人をいいお金を出して雇う経営者がいるか、いないか、考えればわかることです。

 

今後の展開

ドル円は二番底とか騒いでいる方が多いですが、私は本当か? としか思っていないのです。現在の状況は、なんだかわけのわからない状況ですが、前からお話ししているように金利の動きと、金利に関する指標をよくみておくほかないのです。

雇用統計で新規雇用が増えても金利に大きな影響があるかといえば、ないでしょう。しかし、お給料の増え方は金利に影響があります。物価や国債利回りも非常に重要なことです。

日本の消費者信頼感指数が過去最低ということは分母の円の基準値が下がり、アメリカも雇用統計の勘違いで下がれば、数字は変わらずです。

しかし、日本の場合は消費税増税という材料があり、アメリカの場合は去年法人税減税という材料が存在しました、この影響次第によっては、分母が小さくなっていく日本であれば円安なのでしょう。でも私は日本円の基準値はこれからも上昇すると思っているのですが、どうでしょうか?

消費者信頼感指数によって日本の基準値が下方向にぶれることは間違いないでしょうから、円安なのかな、と思ったりもします。要するにわからん、ということです。

ただ、低金利であれば、マーケットの崩壊などはないしょうね、ということです。今は買われ過ぎた分の訂正です。