おはようございます。
予測通り、アメリカFRBは利下げを行いました。今回はこの解説を行っていきたいと思います。
利下げについて
前回までに、金利についていろいろなことを論じてきました。今回のポイントは、きのうもご説明したように今後も金利は低金利が続くのが歴史的な流れだということです。
つまり、利上げ云々、という話は経済が好調すぎて金融引き締めを行わなければいけないような場面がきてもおそらく従前のような連続して何度も利上げを行うことは今後はほとんどなくなるであろう、ということです。
つまり現在の長期金利が1-3パーセント程度で推移するのが常態化をする、ということです。
そして金利を引き下げたら景気はより一層、上向きになるということです。
書いてあることは従前の経済学と言っていることとおなじことではないか、と感じる方も多いと思いますが、言いたいことは金利を引き上げたら、景気が持続的に景気が拡大するという従前のような論説は正しくなく、おそらく景気を拡大したければ利下げをすれば拡大をするということに変化をしていると思います。
このことは、景気と金利の関係をよくみている、安倍首相やトランプ大統領が一番、認識していると考えられます。
故に、またトランプがFRBに対して「また、FRBは間違いを犯した」とツイートされることは間違いないでしょう。
また、今後について、声明文の文言が削除されたことから利下げを打ち止めの可能性が高いといわれていますが、おそらくこの解釈は間違っています。
要するに利下げは妥当、というよりも当然の結果、そして世間はまた、その解釈を間違えているということです。
利下げの背景
このことは、何度もお話しをしましたが、もう一度、書いておきます。今回の利下げは非常にかんたんなものでした。前回、市場金利に政策金利を合わせたのですから、今回も合わせるだけの話です。
以下は政策金利とおなじ、52週の市場金利になります。
政策金利
要するに、政策金利を市場金利に合わせただけの話です。
次回、12月会合に52週の金利が、1.25-1.50の範囲にあれば、利下げをします。ただ、現時点のコンセンサスがFRBは利下げ打ち止めというような観測が流れていますので、マーケットの反応がイマイチなのです。
打ち止めなど、自分勝手な観測であって、これまでの経緯をみれば52週の市場金利に合わせているのですから、それが下がれば利下げ、動かなければ現状維持なだけの話です。
利下げの影響
まず、利下げによってドルインデックス、ドル実効為替レートは下がります。このあたりをきちんと理解していないと、為替相場を理解できません。
理由は金利を引き下げたのですからドルの価値が下がります。
その意味は、ドルの計算式を思い出してほしいのです。ドル円はドル÷円の意味だ、ということはさすがにみなさん理解していると思いますが、ドル単体の計算式は以下のようになります。
ドル×金利
この金利が下がったのですから、ドルの実効レートは下がるのです。だから利下げはドルそのものが下がるということを意味するのです。その幅は0.25パーセントということです。ドルそのものの価値が下がるのではなく、金利が下がったので結果としてドルが下がるのです。
だからドル安なのです。しかし、金の価格がそれほど上昇をしませんので、市場が利下げ打ち止めというコンセンサスになっているからそれが原因だろうと私は推測をしています。
では、利下げをすると、いままでずっと景気が拡大すると私は解説をしていましたので、時間の経過ともに、金利負担の減少から、ドルが上昇してくる、というのがいつものパターンです。
要するに、利下げ発表直後はドル安、時間をかければドル高になるのがいままでのパターンです。
ドル円
アメリカが利下げをすれば分子が減少し、分母が増加すれば円安になります。
しかし、これは日銀の金融政策決定会合次第だと思います。これもいままで解説をしましたが、基本的に安倍―黒田ラインというのは円安が手綱を握っているのです。
長期的に円安になるような政策しか出せないのは当然のことなのです。ただし、この円安のメカニズムが本当にわかっているのか、ということが問題なのです。
基本的には円の実効レートを増やす方策しかできませんが、時と場合によっては円の実効レートを減少させて円安にする方法もあるのです。そこを理解していないような気がします。
もう一点あるとすれば、前回、利下げをしたときにアメリカの短期金利が急騰そしているのです。NY連銀は押さえこむと思いますが、油断は禁物かと思います。
■アメリカ3か月物金利
今のところ反応は正常です。