おはようございます。

きのうから対中関税制裁が延期されるとの報道が目立ち始めましたが、いろいろ分析をしていると、どうやらほとんど第一次合意は延期される可能性が高いと思われます。

今週は、本日FOMC、12日はイギリス総選挙、15日は制裁関税とトピックが目白押しになりますので、センシティブな展開になりそうです。

 

米中の動向

チベットの人権抑圧に対して米議会が制裁をほぼ満場一致で可決をしました。これはアメリカの民主主義の理念に対する行為になりますのでアメリカ議会の決定はある意味、当然の帰結になります。

この内容に関しては香港のときと同様に、さまざまな解釈が氾濫をしていますが、現況においては大きな影響はない、というのが私の見方です。

つまりチベットも香港も、前から起こっている状況であり、面子を大事にする中国は大きな反発をするだけのジェスチャーであり、現実的な対応を実際は行う、ということです。

米中交渉には大きな影響を与えない、というのが現実的な見方です。

トランプ大統領はこのディールをまとめることに必死になっていますが、議会は安易な妥協をしないように釘を刺しているというのがアメリカ国内での構造であると推測されます。

チベットに関しては、歴史的な経緯をみると香港よりもひどい、人権蹂躙であり、何をいまさら感がありますが、米議会は中国に圧力をかけたいという思惑があるのでしょう。

いつもいいますが、中国国内では、毎日50件程度の民主化を求める騒動が起こっており、何も香港やチベットだけで起こっている問題ではありません。

香港の騒動を目前にして普段、中国に触れていない専門家連中は大変だ、と大騒ぎをしていますが、いつもの光景であり、そこにチベットが出てきても、何をいまさら、というのが正直な感想です。

中国の景気減速は貿易に関するもの、というコンセンサスが出来上がっていますが、これは貿易関連の数字をみると、ほとんど貿易には影響はなく、むしろ、国内体制の不備によるものだということがわかります。

つまり、中国側にも交渉をまとめたい思惑がありますが、アメリカ議会の決定を受けて国内の混乱を押さえるための時間が必要なために交渉、関税上乗せを延期するだけの話です。

最終的には妥結するとみています。それが来年の12月になる可能性もありますよ、と言っているだけの話です。ただし、来年1月にまとまる可能性もある、ということです。

中国側の思惑は表の情報では全く判断ができませんが、アメリカ側は年内に解決をしたいという思惑があるのは明らかです。

そもそも、トランプの弾劾が年内に決する観測も出てきていますので、トランプの精神状態が明らかに異常になっていることを勘案すると年明けの妥結というのは妥当な線になると思います。

中国側の思惑がわからないので、なんとも言えませんが、トランプとしては、今の時期のスタート台を下げて、来年の大統領選挙のころには株価をピーク、そして金利の低下をピークにもっていきたい、と考えていると思われますので、今の時期に株価の低迷は歓迎すべきことなのです。

もっともロジカルに考えても、以前にも説明したように28200ドル近辺は年内に抜くことはない可能性が高いと思っています。

ない、と断言してもいいのですが、あまりにも言い切るのは確証もないのにどうか、と思うので、可能性と記すまでです。

こうやって考えると妥結は来年の早い時期になると考えるのが妥当だと思います。

 

この影響

マーケットがどうなるかを考えていきましょう。

今週のトピックが重すぎる内容になりますので、なんともいえません。

FOMCは据え置き、この背景は1年物金利が1.5パーセント台であり、誘導目標が1.5-75なのですから、誘導目標を動かす必要がないということです。

この場合、日本は補正予算を発表していますので、実行為替レートは低下から上昇してくることが規定路線になります。

アメリカは日本よりも少ない規模の緩和を実施していますので円安ということができます。この日本の分母が縮小から増大になったとしてもドルで割った際の答えは常に円安になると思いますので円安方向です。

サプライズで利下げをしたとしても、その可能性は極めて少ないのですが、円安になると計算上は思います。

そしてイギリスの総選挙ですが、これは全くわからない状態です。そもそも世論調査の結果が信用できないので、なんとも言えません。

このサプライズは保守党の圧勝は間違いないと思いますが、問題は第二党です。ここに本当に労働党がくるのか、ということです。来ない可能性もあるよね、と思うのです。

さらにジョンソン続投でも、ブレグジットは決まらないであろうな、とは思っています。まだまだ、ゴタゴタが続くよね、とは思っています。

つまりドルも円もポンドもイギリスの総選挙では動かないと思っているのです。イギリス経済は好調のままで現状のトレンドを維持するとみています。

そして15日はたぶん、制裁関税は延期になると思っています。ここまでは円高になるような動きをみせ、明けてから円安だろうな、とは思っています。

本日は0.1パーセントほどの円高と出ていますが、どうなのかな、とは思います。今週のトピックはみな、現状に変更なしなので、とくに神経質になる必要はないと思います。