おはようございます。

明日も早朝から出かけていますので、前の晩での執筆になります。さらっとインターネットをみているとあたかもイランとアメリカが交戦するような記事が多いと感じます。

どの記事も中途半端な知識を背景にわかったようなことを書いているというのが素直な感想です。

今回はイランーアメリカの関係が今後、どうなるのかを記していきたいと思います。

 

今回の騒乱の原因は?

今回の騒乱、騒動の原因を革命防衛隊の殺害によって起こったというメディアがほとんどです。この時点で、まったく何も理解をしていない、ということが理解できます。

今回の騒動の原因は、革命防衛隊によるイラク大使館への襲撃です。その報復が、革命防衛隊司令官の殺害だったのです。この因果関係を誤って発信しているメディアがあまりにも多すぎます。

イラク大使館への襲撃は、1979年のアメリカ・イラン大使館占拠事件を想起させる事件であり、アメリカにとっては許しがたい事態です。アメリカはアメリカ人の安全保障を脅かすことをアメリカへの挑戦とかんがえます。それがアメリカの安全保障の基本的な考えです。

1979年の大使館占拠事件は前国王パーレビのアメリカ亡命問題がふくまれていましたが、その解決に400日以上も費やしており、カーターからレーガンに政権移行したこともありアメリカ人にとっては思い出したくもない思い出です。

その占拠事件の記憶は全く風化していらず、イラク大使館を襲撃したのですから、トランプが司令官の殺害を命令したことに何の非合理性もありません。きわめて合理的な判断になります。

そのアメリカの衝撃を表現するのには、イラク撤退の草稿が外部に流れたことです。

この背景はよく存じませんが、軍隊ではあってはならないことが現実に遭ったことが実際に起こったのです。そのくらい衝撃的な事件なのです。イラク大使館襲撃は。

 

戦争はなぜないのか?

上記はイランの鉱業収入になります。

イランは石油収入だけとおもわれがちですが、そのほかにも鉱産物資源はありますが、その主力は石油になります。

上記のグラフで2014年くらいに、一気に鉱業収入が増えていますが、これはイラン核合意の成立です。

これをオバマの功績として、トランプはオバマは嫉妬にし、オバマレガシーの否定から一方的にトランプはイラン核合意を放棄したと適当な理由を言っている連中ばかりで非常に困ります。

実際にイランが暴発し始めたのは最近のことであり、とくにリーマン以降にイランの収入が増えてから、さまざまなテロを起こしているのです。

トランプはその資金源根絶のためにイラン核合意から一方的に離脱をしたのであり、オバマレガシーの否定などというアホな説明は聞きたくもありません。

一方で考えなくてはいけないのは、トランプが一方的に核合意から離脱したのであればイランも収入を減らすはずです。でも実際は横ばいです。核合意放棄から1年以上が経過をしているのに、横ばいです。

つまり貿易面では制裁によって物資不足に陥り、各地でデモなどが起こっていますが、収入は変わっていない、のです。

この背景には世界的に重油不足によってヨーロッパ、日本、中国、インド、韓国などがイラン産原油の輸入に反対したため、実質、核合意は骨抜きになっているのです。

つまりイランは、収入が担保されているのですからイラク大使館襲撃などアメリカの怒髪天を抜くような行動に出るような場面ではないのに、そういった行動に出たのです。

経済的にはアメリカに対峙して殊更、事を荒立てる必要は全くないのです。

この辺は、政府高官などで認識されているコンセンサスになります。つまり、イランとアメリカが交戦状態に陥ることはない、というのが世界的なコンセンサスなのです。

ところが世の中のメディアや個人の意見は、もうこれと正反対の意見ばかりですから、みなさんも注意をしたほうがいいでしょう。

イランは経済的には、大きな打撃を受けておらず、これが交戦状態になるのは鉱物資源からの収入が激減をした場合、間違いなくイランは戦争を仕掛けるでしょう。

生きていけないのですから。こういう当たり前の推論をしてほしいものです。

 

本当に交戦は起こらないのか?

まず、トランプのオバマレガシーの否定から、イランにいやがらせをしているのではなく、イランを軸に世界的なテロの拡大によってイラン核合意を放棄せざるを得なかったのです。

この認識を間違えているから、おかしな言論ばかりが世の中に出るのであって、中途半端に中東のことを知っているから始末が悪いのです。それらの文章を読んでいると一見、まともに見えますが、実際は、都合の悪い、矛盾するところはすべて推論でカバーをしており意味がない、というのが私の判断です。

経済の面でみれば、イラン核合意をヨーロッパ各国が放棄をすると、完全に石油をめぐる混乱が起こることは明らかです。

現在の状態はイランと世界にとって双方に利益のある形態なのです。イランにとっては核合意によって収入が担保される、そして、世界にとっては重油が世界的に不足をしていますが、その供給懸念が払しょくできるのですから、現在の状態のほうがいいのです。

ベストはアメリカが復帰をすることですが、近年のイランが関与していると思われるテロを勘案するとかんたんには復帰できません。

つまりアメリカの核合意の復帰はほぼ不可能な状態であり、現状を追認するほかないのです。

イランには交戦の意思がないと散々に表明をしていますが、これはロウハニという大統領の意見であり宗教指導者のハメニイは狂暴化路線を突っ走っているように感じます。

何度も説明するように、イランの最高指導者は、大統領ではなく、宗教指導者のロウハニです。それが過激で挑発的な意見を繰り返し表明して、戦争が起こらないと騒ぐ、政治家、官僚は何か基本的なことを間違えているのではないか、と私はおもっています。

つまり、イランは経済で行動するのではなく宗教で行動をするという「大前提条件」を間違えているのです。

経済の面では石油収入が途絶えたときに戦争の可能性が高いといえますが、宗教の面では、なぜイランが過激な行動人出るかわかりません。

トランプは収束を宣言していますが、イランは今年のラマダン近辺におおがかりなことをやってくる可能性は高いのです。ただ、いますぐに戦争、なんて非現実なことを妄想している人は単に無知なのだと思います。

 

月曜からのマーケット

現在は、イラン情勢、中国問題がひと段落をしている段階なのは理解できますが、何の進展もなく株価が上昇、円安なんてパラダイスなことが続くなんてことはあり得ますか?

イラン問題で大幅に売られたのであれば、戻りは期待できますが、そもそも下がっていないことに気づいていますか?

中国との合意なんて、年末から変わっていません。二次合意なんていつ決まるかどうかもわからないものを支持して、泣きを見るのではないかな、と思います。

僅かに進展したのはブレグジットくらいで、ほかは、何も楽観的な材料はないのです。それで新高値ですか、おめでたい、おめでたいとしか言いようがありません(笑)。