おはようございます。
結局、今迄の訳のわらない動きというのは財政に問題が生じている結果、現在のマーケットになっているということがだんだんと見えてきました。今回はその解説を行いたいと思います。
30年債の不調
日米欧ともに、30年債の入札が低調であったことから、今回の円高というものが起こっていると推測をしています。
たとえば、現在の日米欧に限らず各国の財政状況はコロナ被害を受けて、みな、借金が山積みになっているのが現状です。
たとえば、その借金の調達、つまり国債の入札が不調になるということは、借金による国家の運営が不安視されるということにもなります。
これですわ、デフォルトか、なんて短絡的なことを考えてはいけません。
では国債入札不調を回避するためにはどうしたらいいのか、という問題が持ち上がってきます。かんたんです。金利を上昇させればいいだけの話です。
金利の変化条件というものには①物価②政策金利③政府の債務状況というのが大まかなところですが、このうち②と③は政府、中央銀行サイドがコントロールできるものにあります。
一方、投資家にとって、国債の入札になぜ、応じないのかといえば、30年後の経済など誰にもわかりませんが、現在の金利水準では、国債に入札すれば運用利回りが悪化することから国際の入札を行わない、だけの話です。
では、政府は何をするかといえば、結局、金利を上げるほかない訳です。そうすれば、自動的に国債の入札応募が増え、国債入札の応札が増えるだけの話です。
ところが、今の状況で、今後、コロナの感染拡大が広がればさらなる景気対策が必要になります。そするともっとお金が必要となるのです。
基本的に政府は国債が発行できるのであれば、いくらでも財政出動をすることができますが、肝心の国債入札が低調であれば、金利を引きあげるほかないのです。
その前提条件として物価があるのですが、その物価は上昇気味に現在なっているのです。
ですから金利をわからないように上昇させるのはできることはできるのですが、ところが、ゼロ金利を解除すれば、基本的に世の中で商売をやっている人たちはコロナで収入が増えないのですから、金利負担には耐えられないとう状況の事業者がほとんどの訳です。
それで安倍さんがぶっ倒れた? 関係あるかどうかはわかりませんが、そのくらい深刻な問題だということです。
要するに安倍さんの力の源泉というのが無尽蔵のファイナンスによる財政力だったのですが、今後はそのファイナンスが難しくなる可能性があるのです。
この状態になればはっきりいえば、どこをどうやっても打つ手がなくなってくる、というのが事実なのです。
これは私がコロナが発生したときから言っていることですよね。いったんインフレが起きればそれを止める手立てはなくなる、と。
アメリカでは、民主党が選挙対策で共和党のコロナ給付金を妨害しています。物価が上昇しているのは、もちろん、ほんのわずかですが、上昇しています。
おまけに財政に不安がありますので、大判ぶるまいはできない、状態です。
つまり民主党が選挙に有利だ、有利だ、とみなさん騒いでいますが、そんなこともないよ、ということなのです。
実際に安倍さんが10万円の給付金を行うことに渋ったことに対して、安倍さんの支持率が急落した事実をみてください。
今の民主党やバイデンへの支持率など砂上の楼閣であろう、と想像することができます。
現金を目の前にぶら下げて、それにお預けをくらったら、人々の落胆、怒りというものを政治家はちっともわかっていない、ということです。
ここからは、このまま金利を安く抑えて、経済を回す方法を考えなければいけないのですが、その最適な方法なんて存在をしない、ということです。今まで就任以来、打つ手、打つ手が当たってきた安倍さんがぶっ倒れそうになる気持ちもよくわかるよね、と思います。
私は安倍さんの支持者ではありません。ただ、国民のために一生懸命に頑張っている人を、人格が信用できないとか言って批難している人たちのほうがよほど信用できない、と言っているだけの話です。
頑張っている人にまずかける言葉は、ありがとう、と最初に声をかけるのが人間として当たり前の言葉です。それを訳のわからない人格攻撃など、そういうことをやっている人間など信用をしません。
とにかく各国政府の財政政策は行き詰まりを示しているということです。
それに加え
本日はフィラデルフィア連銀指数です。
先月もフィラデルフィアは下がりましたが、メトロポリタンは上がっていました。
NY連銀とフィラデルフィアは9月のISM指数の前哨戦。ここでNYもフィラデルフィアも下がった場合、ほぼ間違いなくISMも下がるでしょう。
となると景気悪化になりますので、資金需要が伸びるでしょう。しかし売り上げが落ちている中、経営者は金利が上がれば、つまり返せる見込みがあるかどうかわからない融資など行わずに廃業や倒産を選ぶ経営者が増えるということです。
でも、応札が少ないのですから、金利は上げざるを得ない、どちらをとっても何の怪我もなくこのコロナ被害を通りすぎることはできない、結果、金融市場はどうなる可能性が高いのかを考えればいいだけの話です。
6/17のパウエル議長発言(日経新聞)
『米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は16日の米上院委員会で、「米国は基軸通貨国で、大いに国債発行能力がある。財政悪化を懸念するのではなく、今は歳出増で経済再生を優先すべきだ」と主張した。早期の財政立て直しを意識する米議会に対して、追加の新型コロナウイルス対策を求めた発言だ。
FRBは量的緩和で大量の米国債を購入しており、中央銀行が連邦政府の債務を穴埋めする「財政ファイナンス」との指摘も出た。パウエル氏は「国債購入は市場の円滑な取引を支えるための手段」と述べ、禁じ手とされる財政ファイナンスを否定した。ただ、国債利回りが上昇する際には「それを抑える必要がある」とも述べた。』
入札不調を回避するためには、日銀同様に、中央銀行の国債買い入れを増やせばよいのではないでしょうか。
民間で国債を購入後、即座にFRBに転売して、確実に儲かるようにすれば、まだ低金利を維持可能ではないでしょうか。
パウエル議長は、金利を上昇させないと発言しており、国債買い入れ拡大を示唆しているように思われます。
米国の追加対策が1兆ドル規模で行われるとして、税収は減っているので、全額を国債に頼ると思われますが、FRBのバランスシートが1兆ドル、まるまる増加すると考えています。
バランスシートの拡大と株価の上昇に相関があって、最近は横ばいにも関わらず、株価が上昇方向なのは、今後のバランスシート拡大を見込んだ先回り買いではないかと思います。
だとすると、次の本格的な下落は、米国議会がバラマキに合意・国債発行枠を拡大する、もしくは、FRBのバランスシート拡大が確認されて、「BSと株価は比例する、さあ買いだ!」と市場に強気説があふれたところが天井になるのが相場ではないかと。