今回はユーロドルの「基準値」を計算してみたいと思います。なお、ほかのクロス円やポンド、オージーなどは、また異なる計算方法になります。
それだけでなく、基準値を算出にするためには一工夫が必要になりますので、なかなか算出も難しいものです。
2000年に誕生したユーロは、先進国の中では比較的新しい通貨です。このため計算は比較的簡単なのですが、理解するのは非常に難しいと思います。
GDP発表時点のユーロドルの基準値を計算する
まず、ウキペディアから世界GDPランキング表を見てみましょう。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_GDP_(nominal) より
1.United States
18,624,450
— European Union[n 1][19]
16,408,364
この表の上位2つを取り出して「ユーロドル」の計算をします。この表は名目GDPを表しており、単位はドルです。ユーロドルという通貨ペアですから、ユーロが分母になる計算式です。
「16,408,364÷18,624,450=0.8810ドル」
ユーロドル相場は去年か今年、1ユーロ1ドルを割れていなければならなかったのに割れなかった、これが去年、私が「ユーロはパリティーを割れる」と騒いでいた原因です。
このような計算をして基準値が「0.8810ドル」であると知っていたためです。
ただ、今年に入ってユーロは景気回復してきています。ECBは金融緩和を止める方向になってきた、そしてドイツが懸念しているギリシャ債券の処理が終わったように見えることが、景気回復と判断できる要因になると思います。
相場の上昇率を掛け合わせて現在の基準値を算出
上記は「ユーロドルの週足」です。
2016年の年末の引値は1.0515ドルで、現在1.1770ドルですから、約12パーセント上昇していることになります。そして2017年の初頭から12パーセント上昇をしたので、GDPの額も自動的に12パーセント上昇する予想ができます。
ユーロの数字に12パーセントを掛け合わせます。
「16,408,364ドル×1.12=18,377,367ドル」
さらにこれをアメリカGDPで割ります。
「18,377,367ドル÷18,624,450=0.98673ドル」
「0.98673ドル」これが現在のユーロドルの基準値になります。
基準値から高値も予想できることになる
理論上では本来はユーロドルがパリティーを割れしていなければならないのですが、実際は「1.1770ドル」ということは、現在のユーロはすでに割高状態で、実際はドル安であるということになります。
参考までに、この実際の価格を基準値で割ると「1.170÷0.98673=1.18573」になりますので「理論上より約20%高い」ことがわかります。なお、去年のユーロドルの安値は「1.0351」でした。この20%上昇の値段は1.242になります。
去年の高値は1.2092でしたから、ほぼ近似値ということになりますね。同じ要領で来年のユーロの高値を計算すると、1.28くらいになります。
注意点としては、今年の基準値と来年の基準値は、同じにはならないということです。実際のところは大した変動はないと思いますが、正確な数字を知りたい方はご注意ください。
実際に計算してみると、世間はドル高、ドル高と騒いでいますが実は現状はドル安なのだ、ということが分かると思います。ですから原油の価格は上昇しますし、金も1200ドル台と歴史的な高値圏内にあるのです。
このドル安水準が訂正されるときには、金や原油の価格が下がってくることになります。そうなればドル安が解消しているとみるべきです。価格の転換は実際のところ、金が暴落しつつありドル高になりつつあるときです。
なお今年ユーロが高くなったのは、非常に簡単な理由です。トランプの政策によってドル安になったから、相対的にユーロが高くなったのです。