今回は、日本人に人気の投資先である「オーストラリア」のお話しをしていきましょう。

オーストラリアは南半球にあって、移民国家です。ここでのポイントは、日本や中国とは違って人口が増えているということです。個人的には、これが投資先としてオーストラリアに人気がある理由だと思います。

「オーストラリアは金利が高い」という点をポイントとして挙げる方も多いと思います。

別の記事で、「金利が高いのは信用がないから」というお話をしましたが、オーストラリアの金利の高さは、リスクによるものなのかそれとも高成長によるものなのか、の見極めが必要です。

またここ数年、オーストラリアは天候不順が続いていることも、要チェックだと思います。

オーストラリアと日本のGDPをチェック

オーストラリアと日本のGDPをチェックしてみましょう。

日本のGDPは1995年から横ばいです。もし日本のGDPが上向きになるのであれば、豪ドル円は買いになるのですが、豪ドル円が上昇する条件である円安はそれほど見込めないと考えます。

一方、オーストラリアはずっと経済成長が続き、特に2002年から大幅に上昇しています。なぜ上昇したのかというと非常に簡単で、アメリカが2001年の9.11とITバブルの崩壊で傾いたからです。

ここから、「ブリックス時代」に突入して資源国と新興国が上昇しました。

なお「ブリックス BRICs」とは、ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字で、急速な成長を遂げた新興国のことです。そのピークは2012~2013年になります。

このときに何があったのかといえば、アメリカの経済回復が明らかになってきたことが挙げられます。その証拠に2014年10月、アメリカはQE(量的金融緩和)の停止を発表し、2015年末にゼロ金利を解除しました。

つまり、9.11やリーマンショックがあってアメリカの力が落ちたことによって、名目GDPで実質、ドル安が続いていたのですから、オーストラリアのGDPが上昇するのは当然ということになります。

参考までに、オーストラリアの実質GDPです。

このグラフだと順調に成長をしているように見えますので、豪ドル円はまだまだ買いのように思うかもしれません。しかし、国際的な比較は「名目GDP」で行うものです。

名目GDPの推移と豪ドル円月足の関係

先の名目GDPのグラフをもう一度確認しましょう。そして、豪ドル円の月足の形と比べてみてください。

2010年からのチャートしかありませんでしたが、見事に同じ形になっているように、見えないでしょうか。

豪ドル円の高値は2012と2014年に出ていますが、名目GDPの高値は2012年と2013年です。これはGDPの発表形態の関係上こうなるのものなのです。

それで、2016年まで下がり続けるということは、来年の数字がどうなるかも、だいたい想像がつくことになるでしょう。

オーストラリアの経済状況に関してはこれまでも、土地バブルが発生している影響で家計が借金漬けになっているという話をしていたと思います。

借金漬けということは可処分所得が少ないことことになり、消費は放っておいても低迷します。

2017年末現在、企業の経済活動は好調ですが、消費が拡大する見込みはないということになると、外国に頼るしかありません。オーストラリアの主要な輸出先といえば中国なのですが、中国がどうかといえば、おそらく減速をします。

外国もあてにできない、ではどうするのか、ということになりますね。簡単な話、アメリカがドル安になるかどうかです。多分ドル安になります。

このため豪ドル米ドルは上昇することになると思いますが、円高も進行することになります。

2017年は幸い、日本の名目GDPは上昇傾向ですので、綱引きになると思います。日本のGDPが変わらないという前提であれば、米ドルの強さに大きく左右されることになると思います。

なお天候不順は、もはやリスクでしかありません。移民国家とも書きましたが、移住者はたいていの場合、ローテクか農作業に従事するものです。天候も関係してくる農作業従事者の収入は不安定ですね。移民希望者が増え続けるかどうかが問題になってくると思います。

ともかく日本は横ばいですので、オーストラリアの名目GDPが上昇するかどうかだけの問題です。

他のクロス円の名目GDPも確認しておこう

他のクロス円の名目GDPも確認しておきましょう。

ポンド円

カナダ円

香港円

シンガポール円

人民元円

ランド円

ルーブル円

スイス円

トルコ円

クローネ円

レアル円

ドン円

ルピー円

ペソ円

ニュージー円

エストニアのビットコインのために、(笑)

エストニアの通貨はユーロですので、ご注意を!

ちなみにエストニアは、自国で流通するお金を仮想通貨にするとの構想を発表しました。

ECBのドラギ総裁は認めないとしていますが、ユーロで発行するのか、独自通貨で発行するのかはわかりませんが、参考までに掲載しておきます。