「前回の記事」で、各国の名目GDPと日本のGDPの比較グラフを確認しました。みなさんの感想はいかがでしたか?

特に、オーストラリアの名目GDPの推移のグラフの形と豪ドル円のチャートの形には、びっくりした方がほとんどだと思います。名目GDPのグラフが1年程度遅れて、豪ドル円のチャートの形になっていましたよね。

オーストラリアだけでなく他の国についても、ご自身でぜひ比較してみてください。その国の事情とGDP調査方法によって、クロス円チャートとぴったり同じ形になったり、ずれたりするのが興味深いですよね。

豪ドル円だけしか解説しませんでしたが、実は他の国の詳細な状況あまり知らなくて億劫なだけの理由です。

私はオーストラリアには訪問したことはないのですが、金融の世界に入ってから豪ドル円に関しては、けっこう勉強してきたのです。また私と同世代の人であれば、小学校のころはやたらとオーストラリアを賛美していた記憶があって、ある程度親近感があると思います。

逆にオーストラリアとも関係が深い中国は、私が小学校のころは日中友好条約程度しか情報がなく「貧乏な国」というイメージしかなかったと記憶しています。

相場の勉強方法のお話

例えばオーストラリアドルで儲けたから「自分は天才」と思う人と、「いや、まだまだだからもっと勉強しよう」と思う人とでは、その後の相場成績に格段に違いが出ます。

マーケットの世界に入るときには、最初はテクニカル分析から始めるのでよいと思います。私も最初はテクニカルから入りました。RSIや移動平均線など一生懸命勉強をしたものです。しかし結果は悲惨でした。

今のようにパソコンなんてない時代ですから、リアルタイムの値段など会社には掲示されません。私が新入社員のころにようやく、ロイターから自動描画のチャートが配信されるようになり、会社は高いお金を出して購入をしたものです。

しかし先輩社員が独占的に使い、新入社員は使わせてもらえないものですから、私は当然、手書きのチャートを使っていました。

でも、それでよかった、と今では思います。みなさんの中にローソク一本一本の内部要因をイメージできる人はいないと思います。

ローソク足を手で書いていたからこそ、この動きであれば急騰する、急落するなどという勘も働くようになりました。今の普通のトレーダーには、このようなことを5年やそこらでは体得できる人はいないと思います。

なお今では、本サイトで教えている移動平均線やRSIの話が、テクニカル分析の極意です。

RSIに関しては当たる確率が70~80%しかなく、RSI14であれば前提条件として14日移動平均線が上を向いているか下を向いているかで、大天井なのか、それとも高値圏で推移をするのかなど、すぐに分かるようになっています。

私も初心者の頃はテクニカルを使っていた

そういう私も、初心者のころにはRSI80で売り、何度も失敗した経験があります。なぜ失敗だったか分かったのは、マーケットに関わってから15年も経過してからです。

私はもう商売ではマーケットに関わっておらず、あくまでも自分のためにしかやっていませんが、マーケット専業でやっていて15年かけてやっと気づいたのです。

15年というと長い月日に感じるかもしれませんが、一般の方だと30年はかかると思いますし、永遠に気付かない可能性の方が高いのかな、とも思います。副業トレーダーの方は、やはり仕事のことを考える機会が多いので、マーケットは二の次になってしまいますよね。

テクニカル指標など、私から見れば移動平均線だけをしっかり覚えれば十分だと思いますが、最近では教える方が移動平均線のことを理解していないので、間違った基本をみなさんにお教えしていることも多いです。

例えば、ゴールデンクロスやデッドクロスを教える人は少ないと思います。この重要性を理解していないから、教えないのでしょう。基本は平均値ですから、そのクロスは重要なのです。

これだけ分かっていれば、新種のテクニカル指標が出ても、その派生形だとしか思えません。

テクニカルで儲けたことがある方は、テクニカルを卒業してそのもう一つ上のランクに進んでほしいと思います。ファンダメンタルズを知ると、マーケット成績を向上させることができると思います。

テクニカルの的中率の上限が70~80パーセントというのは、理論上当たり前の話なのですが、ファンダメンタルズのスキルが上昇すれば、的中率の上限も100パーセントまで上がるはずです。

そのうえ、わけのわからない根拠の数字支配されたテクニカルは、結果にも自信が持てないものですが、ファンダメンタルズ分析をして数字に根拠を持たせれば、自信の度合いが大きく違ってきます。

ファンダメンタルズを覚えて歴史に残る相場も予測

私が、リーマンショックの暴落やアベノミクスを予想できたのには、ファンダメンタルズに根拠があったためで、テクニカルだけの自信とは月とすっぽんくらい違います。

ちなみにこの先の日本株や為替も、ひどいことになると予想しています。程度としては2015年のチャイナショックと同じくらいのレベルを想定しています。

2015年と違うのは、当時の先進国はどこもアップアップの状態でしたが、今はアメリカを中心に余裕がある点です。ですから、2015年を超えるようなひどいことにはならないと思います。

私がこう書いている間も毎日、ニュースでは日本経済が好調と報道されています。

察しの良い方はお分かりかもしれませんが、2017年の日本経済が好調と言われる理由は非常に簡単で、2016年の円高のピークが100円割れで、2017年が110円だからです。

「円安は日本経済が好調という証」から来ています。

為替が10パーセントも切り上がれば、4~9月期のGDPも好調になるのは当然ですね。前年同期はマイナスで円安、とくれば勘違いもするでしょう。

そして、2017年4~9月期が好調ならば、2018年の4~9月期はどうなるのでしょうか?沈むシナリオに決まっています。

2018年は不調になって、2019年を好調にして、消費税増税に結び付けるのがシナリオです。何も考えていないように見せかけて、日本の首相は策士ですね。2019年10月の増税を受け入れてもらうために、策略が立てられているのです。

ですから、相対値などで比べてしまうと、ファンダメンタルズを見誤ることになります。

さて、お話はこれぐらいにして、クロス円の高値安値の測り方を書いておきましょう。

各国のGDPからクロス円の高値安値を予測

「前の記事」でご紹介したGDPのグラフや、クロス円の月足チャートもご用意ください。

① その投資対象の国の徴税能力を調べる

前にお話したように、通貨の信用力とは徴税能力とイコールの関係です。

ですからその国の実質GDPに対しての予算の税収、または予算総額を見ます。そのパーセンテージが10パーセントを切るようであれば、徴税能力が低いと判断したほうがよいと思います。

ただし、ギリシャのように徴税能力をごまかしてユーロ加盟を実現したような国もありますから、ここだけに頼らない注意は必要です。

②「前の記事」の、各国の名目GDPからトレンドを確認します。

③ このグラフは2016年までしか記載がありませんので、2017年の名目GDPを予想します。

④予想の仕方は、その国の対ドルレートのチャートを確認し、その国がドル安トレンドなのか、ドル高トレンドなのかを見ます。

⑤ ドル安ならば、その国の2017年GDPは、上昇。ドル高ならば、その国の2017年GDPは、下落。

⑥ そのパーセンテージを計算します。

⑦ その国の年末のクロス円のレートを掛け算します。答えのレートが、来年のだいたいの高値、安値ということになります。

ただし実際にはこの数字よりも上ぶれ、下ぶれしますので、ぶれ幅がどのくらいになるかは裁量で決定します。

なおこの計算は複雑で、毎日見ていないと計算できませんので、私はやりません。

裁量の部分を決める明確な理論は基本的にないのですが、例えば、穀物の相場で使われる「キングの法則」、収穫が1割減になると価格は3割高になる、3割減になれば5割高になる、という法則などを参考にするとよいと思います。

日本円でも、去年より名目3パーセントも上昇しているのに、ドル円で10パーセントも上昇したことを参考にするとよいと思います。

このような詳細な情報がない、つまり値段の高さ安さが分からないとしても、来年上がるか下がるかはだいたい推測することができます。