おはようございます。いよいよ、イラン情勢が緊迫してきています。私も今回のタンカー攻撃の証拠映像をNHKで見ましたが、正直な話、ウソ臭い、というのが感想です。

また、NHKの安倍首相にべったりの女性記者が現地レポートでヒジャーフを着用していたことにも違和感を覚えます。

ヒジャーフとはイスラム教で女性が肌をさらしてはいけないという規律がありますので、顔を覆うスカーフのようなものです。彼女は、安倍首相のイラン訪問に同行をした記者です。

イランというのは、みなさんが思うほど、イスラムの戒律が厳しくない国で、以前と違い、女性が肌を露出したり、カップルで道を歩くことに他のイスラム諸国と比べて抵抗がなくなってきている国です。

つまり、NHKの岩田がそのような戒律が厳しいような演出をしたともとれるような心象操作を行っているようにも感じられます。映像をみなさんにお見せするのに検索してみると、彼女は相当、嫌われているみたいですね。

もちろん、最高指導者ハメニイ師に安倍首相が会談をするので、それに配慮をしたともとれなくはありませんが、かなりの違和感を覚えます。

今回は、湾岸戦争のときの心象操作などとともに、ポイントをお話ししていきたいと思います。

 

湾岸戦争の際の心象操作

アメリカの軍事力はすごい、というようなイメージがみなさんにはあると思います。

過去のインドシナ戦争や湾岸戦争などで米軍が使用した武器は、さながら国際武器見本市のような様相を呈しており、そのアメリカ武器の優秀さを強調した戦争であったと思います。

湾岸戦争のときに有名になった、原油にまみれた水鳥の写真が有名になったことを覚えている方も多いでしょう。あの写真はイラクが原油基地を攻撃した結果、ペルシャ湾に原油が流出させたとして話題になりましたが、真相は米軍の流出事故でした。

そのほかにもピンポイント攻撃などの映像も攻撃されましたが、あれらの映像は嘘っぱちです。つまり、一番、効果を発揮した映像をアメリカ軍は公開していただけの話で、実は、一般庶民への誤爆被害のほうが大きかったというのが実態です。

つまり、アメリカはこういった緊急事態になると、自身に都合のよい映像しか公開しない傾向があり、最新兵器は自身の武器セールスのために行っているので効果的な映像しか公開しない部分があることは事実として揺るぎがありません。

さて、今回のタンカー攻撃の映像、元イラン革命防衛隊の隊長が映像をみてコメントをしていましたが、このような作戦はあり得ない、リスクが高すぎるとコメントしていました。

誰が考えてもその通りだとは思います。あまりにもできすぎた映像にNHKもこのようなコメントを取ったのでしょうが、あまりにも証拠映像としてはお粗末極まりない、と思います。
⇒ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190614/k10011952231000.html

トランプ、ハメニイ、両氏は戦争を好まないことを示唆しているのですが、アメリカの軍部が既成事実を作り出そうと躍起になっていることをみなさんもお感じになると思います。

つまり、トランプがアメリカ軍部に説得されれば、どうなるかわからない、というほど事態が緊張に向かっているのです。ただし、トランプは人の死が大嫌いですので、それを許容するほどの覚悟があるとは到底思えません。

イラン問題の核心

イラン問題の核心はイスラエルのメタニヤフにあることは週末にも解説をしました。自身の汚職疑惑での立件の可能性、議会で与党が連立を組んでも過半数を制することができないことがアメリカの庇護を求める結果になっているのです。

では、イランアメリカ関係では5/1に期限を迎えていることは週末に解説をしています。このアメリカがイラン核合意離脱から1周年の5/8にトランプはサウジの国内体制が整ったことから新たな制裁をイランに課しています。

イランの側は、イラン核合意に対して、実は、何の違反もしていません。つまり単なるアメリカの言いがかりなのです。

今回、イランの対抗策はウラン濃縮活動が一定量を超えることがないことを国際社会に対して約束をしましたが、これを60日間の猶予をもって破棄すると対抗策を示しています。つまり、この対抗策期限が7/1近辺になるのです。

この期限が迫っているので両国が、凌ぎを削っていることがこの緊張の高まりの背景です。そもそもここがわかってもいないのにわかっているような解説をする人が多すぎるのです。

つまり、7/1に向けてこれから緊張状態がマックスになっていくということです。タンカー攻撃からもわかるように、すでに緊張はマックスです。ではそれぞれの立場を説明してまいります。

アメリカ側の意図は明らかで、弱っているイスラエルを保護するのが目的です。これからメタニヤフの立件、総選挙を控え、イスラエルは対外政策がおろそかになることは容易に想像できます。

そのときにパレスチナ人組織のイランが支援するとされるヒズボラが暴発、仕掛けてきた場合にはイスラエルの国体がピンチになる、と懸念しているのがアメリカの思惑です。

ですから、圧力をかけてイランをおとなしくさせようと、しているというのがアメリカの思惑でしょう。

イラン側は西側では共通認識であるパレスチナ人組織のヒズボラを支援しているということを、公式に否定をしています。つまり、ヒズボラを使って、イスラエルをせん滅させようとしているということを否定しているのです。

アメリカはイランがイスラエルを攻撃しようとしていると考えているのが、イラン制裁の最大の理由です。イランは、ヒズボラを支援していない、と言っているのです。

もちろん、イスラエルが気に食わないことは確かでしょうが、ヒズボラを使いイスラエルをせん滅させようとする意思がないことを表明しています。

要するに、アメリカ、イランの主張がかみ合っていないのです。一方的にアメリカはイランがイスラエルを滅ぼそうと思い込んでおり、イランにはその意思がない、とやっているだけの話なのです。

両者の論点がまったくかみ合わないので、これを仲介する国として日本が仲介をしたのですが失敗だったのです。安倍さんも訪問中にテロが起こることは外交の敗北、と言っている通りのことです。

以前からご紹介しているある国の仲介というのも、まったく声が聞こえてこない状態になり、もう、行きつくところまで行くほかないね、というのが私の意見になります。

もちろん、土壇場で何等かの合意ができれば最上ですが、結局、アメリカが譲歩するほかないのです。でも、譲歩する気がないのは今回のタンカー攻撃の、おそらくでっち上げの証拠映像で明らかでしょう。

イランは今後もヒズボラを支援していることを絶対に認めませんし、その証拠もないのです。となると、アメリカは核合意違反をしてもいないイランに制裁を加えることが正しくない、という結論になるでしょう。

そのトランプがイランに強硬姿勢を取るのは次回、大統領選挙のユダヤ票が欲しいということに他ならないと推測できます。

トランプが大統領になれたのはユダヤ票のおかげというのは最初の訪問に中東を選んだことからも明らかであり、石油政策を重視していることは、エクソンモービルのCEOであったティラーソンが入閣したこと(すでに辞任)からも明らかでしょう。石油政策の重視はサウジ重視の姿勢だととらえたほうがいいでしょう。

では、アメリカが引く条件などは、イランがヒズボラの支援を辞めるという選択肢しかないのですが、イランは公式にヒズボラの支援をしていないと言っているし、その証拠もない、というだけの話です。

また、アメリカが中東のアラブ人やペルシア人から恨みを買うだけの話です。こうやってロジカルに話を考えると、結論がすぐに出るのです。