おはようございます。

ドル円に関しては、香港のデモ回避策の発表、イギリスのハードブレグジット、総選挙の否決など、で見通しを誤りましたが、ユーロドルが上昇をしてきています。

今回は世界のさまざまな事象についての解説をしていきたいと思います。

 

香港、逃亡犯条例の撤回

まず、逃亡犯条例の撤回をデモ隊は求めていたのですが、この意味がよくわからない方も多いと思います。

イギリスを例にとるならば、メイ首相時代にブレグジット案を承認してもらうために議会に働きかけたのですが、同じ内容の法案をメイ首相は3回も議会に諮ったのです。その後、4回目もトライしたのですがさすがにこれは議長によって審議を認められませんでした。

このように同じ法案に対して2度も3度も審議や採決を取るのは異例なことであり、通常の法律の世界や議会の世界では同じ内容の法案を何度も審議、採決することは認められません。

その理由は明快で1回目に否決をしたのだけど、2回目は賛成になってしまったら、議会、つまり立法機関の権威が落ちてしまうのです。ですから、一度、決めたことに対しては同じ内容の法案を審議しないというのが通例になります。

今回の香港、逃亡犯条例は、審議は行いましたが採決は取っていません。審議している最中にデモの拡大があり、その審議をストップしたのです。

そして採決を取れるような状態ではなかったので、この議会の会期が終えるまでは議会で審議をしないと行政長官が宣言をしたのです。会期末になれば当然、廃案になります。

一方で、今の議会の議員が改選された場合は、メンバーが違いますので再び審議ができるようになるのです。

今回の行政長官の撤回決定の発表は、要するに、行政府が議会に対してその審議を求めないと言ったことが解決になるのではないか、という解釈になります。

すなわち、会期末までその法案を審議しなければ廃案になるのは当然なのですが、今回はさらに一歩進んで、撤回としたのです。この意味は廃案にしても、再び、デモが収まれば行政が議会に審議を依頼する可能性はありましたが、今回は、もう議会に行政は審議を求めない、ということです。

参考までに香港議会の改選は来年の8月です。つまり今回の香港の騒動は来年の8月まで続く可能性があったのです。

さて、今後の展開ですが、また、天安門事件のように中国が武力を投入し、混乱するのではないか、ということ言う人が非常に多いです。

しかし、中国は香港の自主運営を返還から50年認めており、対外的にも「一国二制度」を標榜しています。

つまり、この一国二制度と言った中国政府のメンツをつぶしてはいけませんので、香港が中国の気に入らないことをやったとしても、それは建前上、一国二制度なのですから介入することはないと思います。つまり現時点で武力制圧ということはあり得ないのです。それをあり得るというのは少し、話がおかしいと思います。

つまり、この状況がダラダラと続くだけです。デモ隊が要求する香港の民主化というのはおそらく認められるわけがないのです。つまり返還から50年後には中国に完全併合と言っているメンツがつぶされるからです。

中国政府の一番懸念していることは台湾問題への波及、そして本土への波及です。最悪なのはジャスミン革命のように世界に波及することです。

 

イギリス、ジョンソン首相苦悩のデビュー

議会にハードブレグジットと解散、総選挙の採決を提案しましたが、何れも否決をされました。

正直にいえば、パフォーマンスだけで乗り切れるとジョンソン首相は踏んでいたように思われます。

今回の結果を受けて、どうなるのか、と言われれば、混沌としているとしかいいようがありません。

まったく見通しが聞かなく、仮に来年1月まで離脱を延期しても議会で首相、EUの思惑通りの結果が通る可能性は全く見えてきません。

労働党は離脱を延期すれば解散総選挙に応じると言っていますが、現時点でその総選挙の結果が全く見通せない状況です。

EUに加盟するときも何年も審議し、ようやく可決になったという経緯をみても、今回も同様になるのではないか、と思います。

ただし、EUに加盟への審議が始まったのはイギリスは中東などの植民地を失ったときから始まり、EUに加盟をして新たな市場、つまりユーロ市場から国益を得ようとしただけの話なのです。

今回の離脱というのはEUが魅力的な市場ではなく、もっと魅力のある市場、中国やアメリカなどで力を付けようというのが決定の背景になると思います。

つまりイギリス離脱という決定は覆らないという前提条件は変わらないと思います。この意味は、国民投票をやっても離脱になるよ、と現時点では推測をしています。

 

ドイツ金利の低下

おそらく背景には新任のラガルドがユーロ圏での超緩和策の継続を言明したことにあると思います。

ドラギが任期満了で退任、新任はラガルドになります。

これがきっかけに、イールドハンティングの主犯であるドイツ金利が急速に上昇する可能性があります。

意味不明な実行為替レートの上昇、金利上昇、この低金利が終わる可能性を示唆しています。

このドイツ金利の低下が今回の主犯であると私は個人的に思っています。可能性はまだ確信には変わりませんが、その可能性は否定できないと思います。

時代は複雑系と言われましたが原因と結果というのは因果法則の中にあり、原因をきちんと特定できていれば終わりは予見できるということです。

複雑系とは物理学の言葉で、原因と結果がさまざまな要因が絡んでいることを指します。

実行為替レートでいえばユーロの分子が増大し、アメリカの分母は可縮をしているのですからユーロドルは上昇して当然のことになります。

 

円安について

一時的なことだと考えています。

実行為替レートの円は拡大、アメリカは縮小になりましたので、円安が進行をしただけの話です。

まだ具体的な時期には明言できませんが、円高に行ってから年末に円安、株高という路線は変わりがありません。