おはようございます。
ブラックマンデーも、日本のバブル崩壊も、実は、中央銀行の政策失敗からきているものです。
今回のFRBの決定はそのような教訓を無視したものであり、そしてアメリカの国内事情を優先したものです。どこまで記せるかはわかりませんが、転換の景気になりそうな気がします。
きのうの杞憂は無駄だったのですが
さまざまな媒体に、少し、おかしい、と記してきました。テクニカル的にはここで戻るのだろうな、とは思っていたのですが、戻りの鈍さにイライラをしたものです。
しかし、FRBがこの状況で緩和を止める、止めたのは事実であり、この状況で金利高騰抑止の目的であれ、止めるのは尋常な判断ではないように思います。
理由は、欧州が特に顕著ですが、イラン問題から大きく国力が衰退している状況でラガルド総裁は金融政策の変更を示唆しています。
日本は消費増税の悪影響を押さえるために、日銀、政府はあらゆる手段の準備ができているといつもコメントをしています。つまり緩和の準備はできる、と言っているのです。
そんな中、アメリカだけが量的緩和を止めるという決定を下してしまいました。
これはあらゆる点で問題になります。
① 不確実な状況にあるときは、金利の上げ下げではなくリスクマネー、いわゆるヘリコプターマネーを準備し、いつでも放出できる準備をしておく必要があるのは過去の金融危機から明らかなことです。
② 中国のコロナウィルスについてはIOC(国際オリンピック委員会)が大会の重大の懸念を表明しましたが、夏のオリンピックにインフルの心配をする、という判断が何なのかさっぱり理解できません。
つまり、FRBからみればいつかインフルエンザなのだから先は見えているからいま、緩和を終了しても問題はない、ということでしょう。
一方、FRBの判断は以下のように推測されます。
① アメリカ経済は順調である
② しかし、株価は高すぎる(これについては当コラムで何度も触れています)
③ ゆえにチャイナリスクは重大な懸念があるが先の見えているものであるので緩和の解除を決定する
というロジックに基づき、緩和の解除を決定していると思います。参考までにFRBは金利高騰を抑えるために、公開買いオペをNY連銀を通じ行っていますが、これは金利の高騰を抑えるため、つまり誘導目標金利と市場金利を防ぐためと説明をしており、FRBは緩和と認識をしていないというのがFRBの見解でしょう。
しかし、マーケットは緩和ととらえているので株価は新値を迎え、10年物国債利回りは急落になっているのです。
つまり極東で起こっているトラブル、中東も同様ですが、アメリカ経済の強い懸念にはならないということから今回の決定を下しているのです。
伝統的金融緩和
伝統的な金融緩和は、緊急時には金利の上げ下げによって対応をする、というのが一般的な概念です。
しかし、リーマンショックでも明らかなように、各国は大幅な金利引き下げと金融緩和によって、対応したことによって、その危機の除去に成功をしたと思われます。
大幅な緩和を行い、政府の赤字は拡大した結果、金利は急低下をしているのが現状です。
現在の低金利は、本来は10年物で3-5パーセント程度にならなければいけないのですが、政府債務状況で0-1パーセント程度の金利に先進国はとどまっています。
メディアの対応はこの金利の上げ下げばかりに注目し、そして一般も金利の上げ下げにしか注目しません。
しかし、実際は、リーマンショック後に大規模な緩和を行うことで経済が再生をされるとわかっているのに、なぜ、今回、FRBは実質上の緩和を止めたのか? という問題です。
今朝になってWHOが緊急非常事態宣言を行いましたのでこれはすでに世界的な問題です。そのコンセンサスから外れるのがアメリカということでしょうか(笑)?
今後の展開
緩和を止めるということは、実質上、金利を上げる、という意味になります。
先週もトランプがパウエルに対して金利を下げろ、と要求をしていますが、その意向にも逆らっています。そして、この行動が出来レースなのか、大統領と合意での決定なのか、単独なのかは推測もできません。
しかし、非常時に有効な中央銀行の政策はマネタリーベースを拡大させることが、危機を終息させる手段であることは金融関係者であればだれでも知っていることです。
今回のウィルスに関しては、私は楽観を非常にしています。実質、通常のインフルと変わりがないと思っています。そして、中国に対策を、と言っても、無理です。なぜなら、医者と病院が足りないのですからないものねだりをしても仕方がありません。
何度もいうように、この問題は、生産性の問題で、ほとんど中国の工場が1か月稼働をしないで、なぜ、懸念が働かないのか、意味がわかりません。
おそらく週明け、上海株は大きく下落し、その際に、感染はもっと拡大する勢いでしょうから、さらに工場の停止が続くと思われます。
その際に金利を高くしたら余計に緊急事態になるだろうと思うのです。そして、逆に緩和の勢いを上向きにするほかないのですが、出した結論は縮小です。
つまり、緩和マネーが引っ込めば、余計に危機は拡大する、きょう、おちないからと言って、FRB愚行が消えたわけではありません。
むしろ、中国の工場稼働停止期間が長引けば、長引くほど、さらに世界的な危機が高まるといっているのです。コロナウィルスの感染は原因ですが、マーケットにとっては直接的な原因ではありません。
本日は大きな戻りと出ています。