おはようございます。

NYダウが予想以上の反発でした。NYオープン前までやはり金融緩和を現時点で言い出しても無意味だよね、と考えていましたがさにあらず。売り方のショートカバーを巻き込んでの上昇でした。

今回は、金融緩和についての解説を行います。

金融緩和は円売り介入と同じ

為替相場においては、政府が為替レートに関して口をはさむことが許されません。

この理由は、たとえば、円売り介入を行った場合、為替レートというものは相手国との相対値なのですから、景気低迷の際には各国とも自国通貨を安くしたいという思惑があります。

日本だけが円安にして相手国のアメリカは通貨高の被害を受けるのですから、介入はダメというのはおわかりになると思います。

しかし、例外があり、1か月間で10パーセント以上の通貨高になればその介入は妥当性がある、と認定をされるケースが多いと思います。

ですから、円売り介入などは、先月の安値112円などの10パーセントの増価は101円ですのでこの近辺にきてから警戒をすればいいだけの話です。

今月は107円からのスタートですから、97円から警戒をすればいいだけの話なのですが、現実的な数字ではありません。

よって、円売り介入などある訳ないでしょ、という結論になるのです。

しかし、10パーセントもの円高が1か月間で進行をしている最中に、介入を行っても焼石に水です。理由は、それだけ経済状況が悪化する何等かの材料があるから円高になっているのです。

よくリーマンの際に「落ちてくるナイフを素手で取ろうとしても失敗するだけ」とよく言われましたが、急激な円高の際に介入をしても、その円高の勢いを「一時的」に止めることはできても、トレンド転換、つまり円安など期待できないのです。

円売り介入でできることはせいぜい、円高の勢いを少しだけ、その勢いを止めることができるだけで趨勢的には円高になるだけの話です。

これが円売り介入の実態なのです。では、金融緩和はどうなのでしょうか?

 

今回の金融緩和待望論

私は、たぶん、やるだろうね、とは考えていましたが、言い出すのが最悪のタイミングです。

先ず、最初に金融緩和と円売り介入というのは同じ意味です。金融緩和というのは日銀が国債の買いオペを行い、市中にお金をばらまくことを指します。一般的にはヘリコプターマネーと言われます。

日銀が通貨を発行して、市中に出回っている国債を引き取るのですから現金の通貨供給量が増えます。ゆえに通貨の供給過剰になります。結果として供給過剰は需給の法則では円安になるという構図です。この内容をみて円売り介入と、金融緩和、何が違うの? ということです。何も本質的には変わりがありません。

つまり、なぜ、今回のタイミングが最悪だったのは落ちてくるナイフの勢いが止まらないうちに言い出したことが最悪なのです。

急激に落ちている最悪のタイミングでFRBのパウエルがギャーギャー騒ぎ始め、追随して日欧となりました。

結果的に止まり、結果、オーライですが、言うタイミングは最悪です。やったことはナイフが落ちている最中に素手で捕まえることをやったのですから、一歩間違えば、大きなけがをすることになるのです。

ですから、円売り介入や金融緩和をやる際には、その勢いが止まったときに大胆な行動を開始すればいいだけの話なのです。

今回は、パウエルなど鼻高々でしょうが、単にアメリカをリスクにさらしただけの話です。

ナイフが手を突き抜けたら、というリスクを一切考えていません。でも、止まったからいいじゃないか、という意見や考えは、為政者にあるまじき発想です。

 

今後の展開

これで底を打っただの、騒いでいる連中も多いですが、要するに、円高になる要因であるコロナウィルスの問題は全く解決をしていません。

原因が止まっていないのに、マーケットが止まったと喜んでいる人たちをみるとご愁傷さま、としかいいようがありません。

私は常々言っていますが、今回の問題は感染の拡大ではなく、生産性の低下、というよりも現実的には生産性の停止です。

工場が稼働せず、日本では外出の自粛が求められている状態で、マーケットだけが反転? アホですか? としか言いようがありません。

つまり今回の金融緩和停止観測で底を打つわけがないのです。それだけの話です。単なる戻りで、みな喜んでいるのです。

これから日本や中国、アメリカ、ユーロの数字は最悪な数字しか出てきません。

ISMにしても、2月の下旬からアメリカではコロナ騒動になっているのにも関わらず、本来なら、劇的な改善になるはずが、低下した、ということは深刻な問題になっているのです。

ほぼ2か月間の生産停止というのは通常、回復には3倍かかるとみるのが普通です。つまり夏くらいまではダメでしょうね、ということです。

それで株を買い、日本の未来が明るいというのは妄想以外のナニモノでもありません。事実をみればとても明るい展望や株買いの発想など起きる人はイルージョンを見ているのでしょう。

いつも言うように事実をみれば未来なんぞ、すぐにわかるのに、イルージョンばかりみてとんでも予想をしている人がたくさんいる訳です。

本日の均衡点は22330くらいです。ここまで行っても、戻りいっぱいと言えるかどうか、よくわかりません。

実際に金融緩和の方策を打ち出すのは下げ止まってからです。またやるやる詐欺とか言い出す連中が大勢いるのでしょう。