トランプの発言がますます意味がわからない、という論調が多くあります。しかし、経済学的な見地からいえば、非常に論理的な部分もあります。

ただし、欧米では最近、マスクが文化として根付いていない、という論説を見かけます。

だからトランプはマスクをしない、というようなロジックの文章をみます。これは日本人には理解できない発想です。

欧米の世界では、マスクをすることは自分の顔を見せないこと、そして何か悪いことをしている、という見方になります。

たとえばイスラム教での女性がするヒジャーフ、これなどは子供であっても公立の学校にはしていけません。欧米では顔をみせて当たり前、一方でイスラム教では女性は顔を見せるものではない、という教育なのです。

何が言いたいかといえば、コロナ感染拡大予防に対してマスクは有用です。

しかし国のトップであるトランプが着用しないのであれば国民もしない、という動きが広がっている、ということです。

日本人からみればバカバカしい問題ですが、アメリカ人にとっては大問題だということを浮き彫りにした問題であると思います。

合理主義であるなら国のトップであるトランプはマスクを着用すべき、とは思います。

最近の言動をみているとトランプの言動は支離滅裂と思う側面はありますが、経済に関しては合理的な部分があります。

 

トランプ発言

トランプ氏、米失業率は9月まで10%以上-強いドル持つのに良い時期

マイナス金利の導入がいかにバカげたことなのか、という解説をきのうしました。

大事なことですのでもう一度、書いておきます。

これは、きのう示した海外直接投資(FDI、青)とFRBの政策金利の誘導目標(黒)になります。

ご覧のように金利が下がれば、青の直接投資は減少し、そして、金利が上昇すれば直接投資が増えます。

アメリカに直接投資が必要な理由は、借金です。GDP比では日本が世界最大の借金額になりますが、アメリカは絶対値ベースで世界最大の借金国です。

つまりお金を借りなくては政府が運営できない、そこで頼りになるのが中国や日本になります。

日本人はアメリカの高金利を求めてアメリカ国債を買うのです。その金利がなくなれば、買うメリットはない、つまり直接投資が減るのです。

要するに借金で運営費を賄うアメリカ政府にとってマイナス金利なんてありえない選択なのですが、トランプのことを私がアホか、と言った理由はここにあります。

アメリカに金利がなくなれば、誰がアメリカの債券購入という借金申し入れに協力するか、という話です。

じゃ、対案としてマイナス金利を本気でやるためにはどうするか、といえば、金利では儲けられないけど、ドルを強くすればいい、ということなのです。

つまり金利が下がれば下がるほど、価格は上昇し、投資家は儲けることができるのでドルを強くしろ、とほざいたのです。

これは何を意味するのか、といえば、マイナス金利は完全に視野に入った、ということなのです。

この結果、株価はどうなるか? といえば、一時的に大急落を起こすことが確定をしただけの話です。

トランプの行動をみていると、間違いなくマイナス金利を導入するであろう、と私は思っています。

日本でこんなことを言っている専門家いますか?私は専門家ではないけど、ほかにこんな人いないでしょ。

専門家なら真っ先にこのことを指摘しなければいけないのに、誰もしない。出鱈目なことを言っている奴のことを聞く、たとえばあたりもしないパウエルの意見なんて聞いても仕方がない、訳です。

パウエルの景気見通しなど当たる訳がない、と思うのです。

要するにトランプはなんだかわけのわからない発言をするのも、バッフェットが株式投資をミスするのも、要するにこの発生を予見していないから、ああなるのです。私も予見していなければああいう風になるでしょう。

原因がわかっていないから、結果がわからないだけの話なのです。

そして注目に値するのはバフェットはアメリカの地銀の銀行株を手放しました。

これはマイナス金利なんかにされたら地銀はもたない、ということでしょうし、おそらく今後、大手都銀の銀行株も手放すでしょう。マイナス金利になるだろう、と思っているからだと思います。

パウエルは一昨日の会見にて「新規に政策を行う必要がある」という一方で、FRBは国家にお金を貸す機関ではない、と否定し、議会・政府に新たな景気刺激策をもとめました。

要するに、あらたに政府・議会が景気刺激策を持ち出せば、それを引き受ける用意はあるよ、と言ったのがわからないおバカさんがほとんどなのです。

この場合、金利も最低、緩和は無制限に行っているのですから、新しい政策ではありません。

何か新しいことといえばマイナス金利でしょ。その意思決定がトランプとFRBの間で合意をしているからパウエルは会見し、そしてトランプはドルを強くする、と言ったのです。

一連の動きは、こうみればすべてがつながるのです。

そして9月以降にトランプは失業率は10パーセント以上だ、と言っているのです。これは、トランプはよくわかっている、といわざるを得ません。

金融緩和を現在、無制限に行っていますが、その効果はまず最初に生産量に出ます。これは緩和を行った6か月後に出るのが蓄積したデータからほぼ、間違いないでしょう。

今回、緩和を開始したのが3月ですからその6か月後の9月には生産量が飛躍的に伸びます。そうなると企業は人を雇う、ということになるのです。

この効果が出るのは遅くても9か月後ですが、この場合12月です。12月だと大統領選に間に合わないので9月とか言っているトランプちゃんなのです。

インフレになるのは1-2年後ですので、トランプは大統領選に再選されてそこから資金を引込めれば大丈夫だろうという計算です。

ただ、あくまでもデータの話であり、インフレというものは、一度、起こってしまえば、それは抑え込むことは不可能です。きわめて危険な賭けに出ているのです。だから精神的に不安定なのです。

マイナス金利にしたら日本の銀行もアメリカの銀行もそして世界の銀行もアウト、ということをお忘れなく。

日本のマイナス金利が金融機関の弱体化を招いたのはみなさんもおわかりでしょう。だからバフェットは何れ、銀行株は全部、手放すと思います。

ここまで明快に解説している人は、誰もいないと思いますよ。真似できるのであれば、してみやがれ、というんです。誰も反論ができないようなことを書いているのです。

わからなくても、わかるように努力はしてほしいと思います。

 

今後の展望

上記の通りになれば、以下2つのことが確定します
① ドル高
② アメリカ金利安からのキャピタルフライト

これが続きます。

となるとドル円は9月まで円安傾向になる、私は以前に相当な円安になると書きましたが、それが現実的になっています。

株は直接投資の減少から安くなる傾向があるのに、今朝のモーサテは楽観のようなことばかり言っているアホばかり。

ドル円に関しては何にもわかっていないあんちゃんが100円割れとかバカの極みのようなことを言っています。もう笑うほかないよ、と思うのです。

そしてね、アメリカに投資できないお金はどこに行くの

ダメ、ダメと私は言っていた原油、買うほかないよね、金なんかさらに史上最高値更新だよ。

新興国だって買うほかないでしょ。

アメリカに投資が集中していたお金が行き場を失うのですよね。ダメだ、アメリカは、と思うのが通常の感覚です。いくらドルを強くしても人々は金利を志向するのです。この試みがうまくいくとは到底思えません。アホな大統領の試みが失敗するよう祈るほかありません。直接投資の増額を志向するのであればドル安を志向しなければいけないのに、やっていることが無茶苦茶なのです。

短期的には論理的なのですが、長期的にみればやっていることは破滅的なのです。トランプのやっていることですよ。

ドル高とアメリカのマイナス金利導入が本当になるのであれば、こうなっちゃうのです。

それを利するのが中国になっちゃうわけです。もうとんでもないことをトランプはやっている訳なのですが・・・、アホの極みとしか言いようがないのです。

かといって中国が安泰とは思っていませんけどね。この辺はもっと分析が必要です。