おはようございます。

ユーロがECB理事会にて予想を超える追加緩和を決定しました。これについて、為替世界に与える影響を考えていきます。

ユーロ緩和の影響

ユーロ緩和と聞くと、ユーロ貨幣の需給緩和によってユーロ安を想起する方が多いと思います。

しかし、実際はユーロの緩和が発表される前からユーロはじわじわと上昇し、発表直後は急騰をしています。

これは、どういうことか、ということは今までに何度も解説をしているのですが、解説を再び行いたいと思います。

まず、日本では金融緩和の代名詞はアベノミクスになります。アベノミクスは安倍政権の成立が2013/12月、それに対して日本銀行の金融緩和は2014/4月に行われました。

ご覧のように安倍政権発足からじわじわと円安が進行をし、そして、2014/4月から急速に円安が進行をしています。

これによってみなさんは金融緩和は円安、ないしは通貨安ということを経験即によって学んでいると思います。

だったら、今回のユーロの緩和もユーロ安が起こるだろうと言って、ユーロドルやユーロ円を売りポジにした方は多くいるはずです。

しかし、実際に起こったことはユーロ高です。

このようなことはなぜ、起こるのか、ということです。

アベノミクスと今回のECBの大きな違いは、その規模になります。つまり規模が雲泥の差だったのです。アベークロダのラインは想像を超える規模の緩和を行ったことによって円安に一直線になったのです。

ECBの今回の緩和は、予想以上の緩和量になりましたが、あくまでも想定の範囲内になるのです。

では、実際に緩和が決定されると何が起こるのか、を考えてみましょう。

緩和というのは、金利のコントロールと量的緩和の2種類があるのですが、今回の場合、金利の政策は変更をしませんでした。つまり緩和量を変更したのです。

緩和量というと具体的には国債の買取を意味します。これは市中の銀行などの金融機関が保有している国債をECBが買い上げるものです。

その買い上げる代金は、銀行の融資資金として銀行に移譲されます。これによって銀行の融資能力が上昇し、融資が拡大することによって経済が活性化するということです。

この融資金額が、ECBの供給を上回る需要が存在するからユーロ相場は上昇するのです。緩和前はその供給が過多になる可能性がありますのでユーロ相場は売られるのです。

このように緩和は通貨売りと言う概念は、ケースが2つあり、そのケースは①予想通りの緩和である場合にはその緩和を上回る需要があるので通貨高になる②予想以上の緩和であった場合には、供給過多になり、結果として通貨安になる、ということです。

今回のECBの緩和は①のケースであり故にユーロは買い、ということになります。

ただし、緩和は継続的に行うものであり、いつかは中央銀行の供給が需要を上回るようになり、ユーロは反落します。この場合、主要なドルや円に対して、ユーロは売られるという構図になります。

アメリカの場合

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-10/QL4QXFDWX2Q301?srnd=cojp-v2
ブルームバーグ

アメリカの場合は非常に複雑怪奇になっており、まずこの問題の上に債務上限問題が絡んでいます。この債務上限に達するのが11日と言われており、この債務上限を回避する法案、短期、15日まで延長する法案が下院で成立をしています。上院もこれを通す見通しでトランプも署名するつもりです。

ゆえに債務上限は15日までには通る可能性もあり、その債務の上限が上昇した場合に経済対策も上乗せされる見通しです。

しかし、はっきりいえば、この債務上限が延長された場合には、なんとも見通しがつかなくなります。

つまり経済対策がレームダック化した議会でも成立しない見通しがあるのです。

ここでは、経済対策が成立した場合で考えていくこととして、後述をします。

日本の場合

日本は、総額40兆円の今年度と来年度を合わせた補正予算が内閣で了承をされています。これは国会で自民党が多数を握っていますので成立するでしょう。しかし、成立をするのは1-2月になるのですから、欧米に比べて遅くなります。

総合的に考えると

まず、当面のユーロ高は決定します。

そしてアメリカはここでは経済対策法案が成立する前提で考えると、今はドル安ですが、さらに14日には大統領選挙の結果が法的に確定をしますので強烈なドル高になります。

来週までには、アメリカの経済対策法案が成立をすれば、ドル高、ユーロ高になりますので、相対的に円安になる訳です。

これが私が円安だよ、と言っている1番目の根拠なのです。

しかし、ここにきてアメリカの経済対策が成立しない見込みがあります。となるとドルは大統領選挙の結果が法的に確定することと相まって、ドルはヨコと仮定すれば

ユーロ高>ドル横ばい>円安

ということも想定をしなければいけないということになります。

この図式でいえばユーロ円に買い妙味があるということになる訳です。そのほかポンドもジョンソンが合意なき離脱になる可能性があると脅していますが、この辺も不透明です。

となると訳がわからない状態に陥っているのが現状の相場であり、来週の米議会の動きには注目です。おそらくトランプは議会で経済対策が成立すれば署名をするでしょう。

米議会の焦点は、バイデンの宥和であり、上院議員を長年にわたりつとめたバイデンはこういう合意をどのようにまとめるかの手腕にかかっているということです。

結局、アメリカでもどうしようもないのは議員のわけです。日本の議員もどうしようもない連中が多いのですけどね(笑)。

ただ、議員は党派性を主張している人が多く、また地方に対する援助、補助に関しては合意ができているので、まとまるとは思いますが、予断は許さない状況にあると思います。