おはようございます。

ようやく米議会が超党派での合意に至り経済対策実施が決まります。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-20/QLMSSFT0AFB501?srnd=cojp-v2
ブルームバーグ

今回は、このことを解説したいと思います。

ドル安のポイント

ドル安が現在、起こっている理由の根本にはFRBによる無制限の緩和であることはみなさんご存じでしょう。

しかし、私はそのほかのポイントとして①大統領選挙の結果の不透明さ②経済対策が実施されるか否か というポイントを明記しました。

このうち①の大統領選挙の結果は法廷闘争では最高裁で却下され、選挙人投票でもバイデンが過半数を取りましたのでほぼバイデン勝利です。

しかし、この結果が議会で承認されるのは1/6であり、この結果が覆される可能性はどう考えても合理的ではなく、結果、12/14でほぼ確定したといえるでしょう。

しかし、下院の院内総務であるマッカーシーなどがまだバイデン勝利を明言しておらず不透明なことがあるところで完全に決まったとは言えませんが、誰がどうみても1/6に否決される可能性がほとんどありません。

ゆえに、大統領選挙の結果は法的には決まったとは言えますが、1/6までに何かの氾濫がある可能性もあるかもしれない(? バカバカしいことですが可能性はゼロではない、という意味です)、ということです。

そして②の緩和については、緩和をするこによって、通貨供給量は増えることをマーケットは期待します。需給関係では、そのドルは供給過剰になる訳ですからドル安になります。

ところが、これから米議会で採決になる訳ですが、実施が決まったら、支援は誰でも欲しいと思っているから支援をする訳であり、結果としてこの採決が決まれば、需給はみな一斉に支援を申請するのです。結果として需給は逆転して供給を需要が上回るのでドル高になるのです。

検証

では今年2-3月にFRBの緩和が決定したときにドルがどのように動いたのかをチャートでみればいいだけの話です。

今年の2月にコロナ禍が発生し、ドルも下がりました。

当然、この状態になれば即時性のあるFRBの国債買取プログラムの発動期待もあることがドル安の原因になります。そして緊急利下げ、さらに無制限緩和の発表によって、ドルが急騰をしているのです。それだけの話です。

金融緩和というと需給の逆転によって、ドル安が進行をするという発想がみなさんにこびりついているのですが、実際は逆の動きになっていることをきちんと観察する必要があるのです。

さらに、7月末に政府のコロナ支援策が期限切れになり、議会はその延長を認めず、トランプが大統領令によってその救済を行いました。

そのときは7月末からドルは下がり、議会がその決定をしないので、さらにドルが下がりそして、大統領選挙の結果で、さらに安くなったということです。

今回、採決されて本決まりですが、その採決にもさまざまな議員がさまざまな立場で反対することが予想され、即時に決まるという訳ではないでしょう。私は詳しくはないので、よくわかりません。

言えることは下院の民主党はペロシがグリップしているということは過去の経緯からはなんとなくわかり、上院もマコネルがグリップしていると予想されます。しかし、下院の共和党マッカーシーがきちんとグリップできているかといえば、ものすごく怪しいところです。

ですから採決で可決されるまでにはまだ右往左往する可能性があります。

今後の展望

まず株価に関してはドル安にて、上昇をしているのが現実であり、その株価はドル安が消えれば急落の可能性があります。

あくまでも議会で経済対策が決まった場合ですが・・・

その上に年末のクリスマスが終われば米国も冬期休暇に入り、その間の資金繰りで例年通りに金利が上昇することが見込まれます。

株価の構成要因は①ドル②金利③GDPなのですから、このうち①と②は株価上昇の方向と反対方向に行きますし、③のGDPに関しては株価が下がれば一時的に下がります。となると急落の可能性が出てくる、というだけの話です。

つまりタイトルに示したように緩和期待で買い、と言っている人が非常に多いですが、反対にそれを期待しているのに株価が下がる、なんでだ、という声が市場を支配するでしょう。

ドル円に関しては中国の利権を日本が奪う形になりますので、日本円の絶対値はそれほど下がらないでしょうが、それ以上に米ドルの絶対値が上昇しますので円安になるでしょう。円高、円高と騒いでいる連中はこの根本理論がわかっていません。

ここから円高になるのには、アメリカがこれ以上下がらなければいけないのですが、上記であげた米国の懸念①大統領選挙②経済対策が解消されつつあるのに、なぜ、そのようなことを言うのか理解できない部分があります。

もちろん、上記のアメリカの懸念①②が再発すれば、さらなる円高の可能性は否定できませんが、現状ではその可能性は非常に薄いので頭を円安にもっていかないとこのマーケットはドルを買うことはできないです。

理由は非常に明快で、世間のセンチメントが円高だから、それに負けない、自分なりの理論、ロジックを自分で組み立てないと買えないのです。私が説明した通りに買って、損してお前のせいだ、となる可能性は高いと思います。なぜなら、自分に自信がないから途中でマーケットに振られるとぶん投げてしまうのです。

それ以降の展望

ドルの動向のチャートをみればおわかりでしょうが、根本は、ドルの供給が多いので基本はドル安になります。

今後、ドル高になって、それがドル安に転じるタイミングは経済対策によって、上振れした経済が下方向に行くときにドル安に転じるということです。

おそらく米国市場は労働市場の不調から、小売などの数字が今後も減少するでしょうが、経済対策によって上向くでしょう。しかし小売は金利上昇で、それほど、よくならないと思っています。

そこでバイデンが明言している経済対策期待になりますが、これは、まったく希望がもてません。上院の選挙結果がまとまるまで迂闊なことは言えませんが、まず、上院の選挙結果が下馬評通りに共和党が勝てば絶望的でしょうね。

つまりバイデンは議会によって何もできない、大統領になる可能性の方が高いのです。オバマと違うのは共和党の上院院内総務の操り方を知っているからまだ「まし」という程度であり、絶望的でしょう。

こうして、バイデンは思い通りに政策を進められない可能性のほうが高く、アメリカ景気はたいしてよくならないというのが当然の考えになります。そして、日本は中国から利権を奪い、おそらくバブル並みに景気がよくなるのでしょう。