「イールドカーブ」という言葉、聞いたことあるでしょうか?株式の投資家もFXの投資家も、ご存知の方は少ないかもしれません。

イールドカーブは、債券の金利(利回り)の状態を表す曲線グラフのことです。

このグラフを使って長期国債と短期国債で金利差がいくら開いているのを研究したり、差がいくら開いているかによって経済にどう影響するのかを検証したりします。

イールドカーブとは?

金利は、時間の経過とともに大きくなります。ということは、1年物の金利が1%だとすれば、10年物の金利が1%よりも大きくなるのは当然ですね。

しかし実際の長期国債の金利は、景気の良し悪しによって変わってきます。物価上昇率やインフレなどのパーセンテージに影響されます。

このことで、短期国債と長期国債の金利差は毎日変動します。この差に注目をしたのが「イールドカーブ」です。

例えばイールドカーブは「短期<長期」になるのが普通ですが、景気の最終局面や、初期段階では「短期>長期」になることもあります。

金利に詳しいのは債券トレーダー

私は債券のほうはあまり詳しくなく、金利にもそこまでは詳しくないのですが、金利の知識をたくさんもっているのは「債券トレーダー」です。

債券トレーダーのファンダメンタルズと株式トレーダーのファンダメンタルズは似て非なるものです。

株式トレーダーは個別株での基礎的条件の専門家で、債券トレーダーは国の金利の専門家です。

日本の投資風土として、投資の王道は株や不動産であり、債券やFX、商品は傍流というような雰囲気があります。

株式トレーダーが幅を利かせていますが、株式にはほとんど金利が必要ないため、債券の金利が重要であることに気づける人は少ないと思います。

経済は時間の経過とともに成り立っており、時間の経過があるから金利が発生します。しかしこのことを認識している方はあまりにも少ないのが日本の実態です。

日本には、債券トレーダーがほとんどいません。絶滅寸前です。理由は、日本銀行の量的緩和によって流動性が不足したためで、ほとんどの方が失業してしまったそうです。

かつてアメリカの量的緩和(QE)が終了したとき、ジム・ロジャース氏が「債券バブルは終了した、債券トレーダーは次の仕事を探したほうがよい」と話したことは有名ですが、その後も低金利は続いており、本格的な債券バブルの崩壊には至っていないようです。

国債が異様に高い異常な状態が続いている

日本国債だけでなくアメリカ国債も異様に高い状態が続いています。

債券バブルがいつか崩壊するのが見えているのに、なぜか高止まりしている。正常ではないです。いつかは崩落をすると考えるのが一般的でしょう。

債券バブルが崩壊するときには、FXや株式も無傷でいられるはずはありません。このことをみなさん忘れているように思います。崩壊時には一気に急落をすることになると思います。

人間は目の前によい事象があると、そのこと以外は目に入らなくなってしまいます。好景気であると騒げば騒ぐほど、崩壊したときの影響は大きくなります。

国債の金利にモラルハザードが起こっている

現在、日本銀行が国債相場に介入を行っています。目的は金利の操作です。具体的には、1年物の短期国債の金利をマイナス0.1%、そして長期である10年物国債の金利を0%に誘導しようとしています。

これはどういうことなのでしょうか。本来なら時間を置けばおくほど上昇する金利。

投資の目的はお金を増やすことで、そのために国債に投資をしている消費者がいるわけですが、彼らに向けて国は「長く持っていても増えませんよ、今使わないと損をしますよ」と誘導しているのです。

昔であれば金利によって、10年待つと100万円は120万、130万というふうに増えるものでした。

しかし「マイナス金利」になると、増えるどころか減ってしまいます。

国債を買うということは、いわば国にお金を貸してあげていることです。長く貸してあげればあげるほど、返してもらうときに貸したお金が減らされる。そんなのおかしいですよね?

つまり現状の国債の金利には、激しい「モラルハザード」が起こっていることになります。

なお、日本銀行にはこの先本当に景気が良くなったときに、急速に金利を引き上げなければいけない局面があります。そのときにはやはり、株価や為替に大きな影響を与えることになるでしょう。

また、国家の予算が必要になった場合には日銀が引け受けざるを得なくなります。人為的に金利を誘導している限り、自然な状態に戻るにはかなりのリスクが伴うことになるのです。現状の景気に満足しているみなさんも、いつか必ずどこかで「将来が不安」という状況に陥ります。

そのような状態になったときにキャッシュ、つまりFXに投資したほうがよいのか、またはリスク選好で株式に投資したらよいのかは場面によって違ってくることになります。