消費者物価指数は、物価の上がり下がりをパーセンテージで表現したものです。みなさんが日頃買い物をするスーパーやコンビニなどで売られているモノの価格が上がればこの指数も上がりますし、価格が下がれば指数も下がります。
消費者物価指数のことを英語では「CPI: Consumer Price Index」といいます。
各国それぞれで発表されており、呼び名が若干違う国もありますが、日本、アメリカ、EUなどはこの名称です。日本の消費者物価指数は、毎月1回総務省より発表されています。
消費者物価指数と結びつきが深いGDPの構成要素
この消費者物価指数と結びつきがたいへん深いのが、景気動向の分析に最も重要でファンダメンタルズの要とも言われるGDPです。
GDPとは結局のところ、モノやサービスの値段の総和です。商品が販売されるにあたっての付加価値がGDPの構成要素です。
例えば製造業者の場合、小売店であるスーパーやコンビニへ商品を販売する価格から製造コストを引いたものがGDPとしてカウントされます。
スーパーやコンビニの場合、店頭販売価格から仕入価格を引いたものがGDPとしてカウントされます。
会社でもらうお給料には原価がなく、あなたの時間や能力を付加価値として会社に販売していることになります。お給料は丸々GDPにカウントされます。
簡単に説明すると以上のとおりで、「総和」には重複する部分が相当数あることになります。
なおGDPの厳密な定義としては「サービスや財、商品などの付加価値の総和」と言われ、世の中の値段がついているもの全てがGDPの対象になります。
GDPの対象にならないものはと言えば長年放置されている不動産など、売らないモノ売れていないモノです。これらは基本的にGDPにはカウントをされません。ただし公示価格から算出される場合もあります。
消費者物価指数が上がるとGDPが上昇する
消費者物価指数は、ちまたにあふれるサービスや商品、財などのモノの価格の上昇率や下落率を表す物価の指標です。
そして値段のついているモノの付加価値の総和がGDPです。ということは、モノの価格が上昇したら上昇分は付加価値が増えたことになり、GDPも上昇することになります。
逆にモノの価格が下落をすると、GDPも下降します。
消費者物価指数の変動は、GDPの変動に直結する影響力の高いものであること、お分かりいただけたでしょうか。
消費者物価指数から来季のGDPを予測できる
例えば日本のGDPが540兆円のときに、物価が1パーセント上昇したとすると、1%にあたる5.4兆円が自動的にGDPにカウントされることになります。来期のGDPは少なくとも5.4兆円の上昇を見込めることになります。
なお消費者物価指数は「インフレ指数」ともいわれています。経済学において物価の上昇のことを「インフレーション」と呼びますが、消費者物価指数はインフレの度合いが分かる調査結果であるからです。
消費者物価指数の上昇とインフレ率の上昇は、同一です。
「日本に居住」していれば、総理大臣も一般市民も外国人も、販売されている商品を購入することで生活が成り立っていますから、皆に関係があることです。GDP上昇率は物価の上昇率とも同じことにもなり、大まかな意味ではGDPとインフレ率の上昇も同じということにもなります。
一時的な事情による影響を除いた「コア指数」
消費者物価指数には、ある弱点があります。それは野菜や肉、魚などの生鮮食品の価格変動が大きいと指数の変動も大きくなることです。
生産地の悪天候などさまざまな要因で、野菜の値段が極端に高くなったり、極端に安くなったりすることもありますよね。景気動向とは直接関係のない、一時的な事情で極端に指数が変動しているだけなら、分析に影響がないようにしたいものです。
また原油価格に関しては、2015年までは1バレル100ドルを超えるような価格であったのが、現在は50~60ドルで推移をしています。
現在は「需要期」ということもありますが、この価格はドル安によってもたらされているため、おそらくあと数十年は100ドルまでは戻らないでしょう。
むしろ、今後の原油価格は「10ドル割れ」を警戒するようなレベルになります。
日本の消費者物価において原油価格は、電気料金やガソリン、灯油、ジェット燃料価格に転嫁されており、指数の変動にも影響を与えることになります。
そこで消費者物価指数の発表では、総合の指標のほかに、野菜などの生鮮食品とエネルギーを除いた「コア指数」、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除いた「コアコア指数」も発表することが多いです。
これらなら、季節や一時的な特殊事情の影響を受けない指数であると捉えることができるのです。なお日本に限りませんが「コアコア指数」まで発表する国は少ないため、専門家の中には独自に「コアコア指数」を計算している方もいます。
このように、消費者物価指数は生鮮食品とエネルギーの価格によって大きく変動します。
この影響を受けずに分析を行うためには、総合指数よりも「コア指数」の対比の方に注視することが重要になるでしょう。