「ゴールド」「金」について、みなさんどのようなイメージをお持ちでしょうか。
日々生活を送っていくために、「お金(通貨)」はなくてはならない存在だと思います。しかしお金よりも重要な存在が「金(ゴールド)」なのです。FXでも、そしてマーケット全体にとっても常に非常に大きな影響力を持ちます。
お金の亡者にはならないようにしましょう
いきなりですが、少々脱線します。これは個人的な意見になりますが、私の生活においてはお金はそれほど重要ではないと思っています。
それよりは人とのかかわりあい、そして社会とのかかわりのほうが重要だと考えています。人がお金を運んでくる、お金から勝手にこちらに向かってくることはない、私はそう思います。
「投資で、1年間で1億円儲けました」と表に出てくる人が絶えませんが、彼らは急に偉くなった気になってしまい、それまでの人や社会とのつながりを疎かにしがちです。
こうなってしまうと、お金だけあってもその後の人生は自然とうまく行かなくなってくるもののようです。
宝くじやカジノのジャックポットで偶然大金を得てしまった人が、その後信じられない大不幸に見舞われることが多いという話とも似ていますね。
お金をたくさん持っている人が偉いわけではないのです。お金持ちになっても謙虚な心で、人や社会とのつながりはぜひ大切にしていきたいものです。
ゴールドは常に世界最高位の存在
さて、ゴールドが重要である一番の理由は「お金」としての世界的通用度において「最高位」の存在であるからです。
ドル、円、ユーロなど国の「法定通貨」は、政府の信用に基づき発行されています。政府が信用を与えているからこそ価値があり、みなさんはこのお金を財産として勘定しています。
例えば、リーマンショックを上回るような世界的な危機や地球規模の災害などが起こったら、世界の政府は軒並み破綻する可能性があります。
政府の信用がなくなってしまったときには、法定通貨をたくさん持っていたとしても、それらは一気に無価値になる可能性があります。なぜなら「法定通貨には信用力以外の裏付けが何もない」からです。
また同様に、不動産も国家がその財産権を認めているからこそ財産になり得るのであって、無法者がいきなり現れてその所有を移転し、あなたがそれに対抗できなければ何の価値もなくなるのです。これは日本が戦争で負けた後の事をイメージすれば分かりやすいでしょう。
過去の時代に、ゴールドそのものを貨幣として流通させていた「金本位制度」は結局崩壊しましたが、もしこの先、世界で発行されるあらゆる法定通貨が一切なくなったとき、お金となるのは「ゴールド」だけです。
FXは、法定通貨のトレードをしていることになりますが、法定通貨がもし全部なくなってしまえば、ゴールドの価値は自動的に上昇します。
現在の基軸通貨はドルで、ドルは法定通貨の中の王様という位置づけになっていますが、ゴールドは世界どこの政府がなくなったとしても、世界での信用度はゆるぎないものであり、王様の上の王様として存在価値が高まってくるのです。
ゴールドと米ドルの関係
法定通貨がなくなる危機と、ゴールドの価値には密接な関係があります。
例えば世界の基軸通貨でもあるドルの価値に影響が出そうな、アメリカ経済の低迷、アメリカが戦争を始めた、などの不安材料が発生すると「ゴールドの価値は上昇」します。
更に言うと、不景気でアメリカ国家の財政赤字が膨らみ、金利の支払いができない状態に陥いる、俗にいう「デフォルト」になると、ゴールドの価値が急騰します。米ドルはこのとき安くなります。
つまりゴールドの価格は「基軸通貨である米ドルと相反した値動きになる」のです。少なくともこれが基本です。
資産を持つならゴールドのポートフォリオも
ゴールドが米ドルと反対の動きをすると分かったところで、あなたの資産の中に必ず組み入れておきたいポートフォリオがこの「ゴールド」です。
ゴールドには商品としてさまざまな種類があり、地金はもちろん、小口投資からETFまで多種多様なラインナップです。
世界がいつ大不況に陥っても、いつ革命が起こっても、ゴールドの価値は経済が不安定になればなるほど上昇しますから、万が一のためとして持つ価値が大いにあるのです。
たいていの資産家は金に関するポートフォリオを持っています。一般の知識しかない庶民は「万が一のときはなによりも現金」と考えているのが普通だと思います。
しかし、それよりも究極のリスクヘッジになるのがゴールドなのです。一般庶民は、本当の万が一のときは現金が役に立たなくなることに気づいていない、または知らない人が非常に多いのだと思います。
ゴールドの値動きから相場の状況をつかみとる
ゴールドの値動きは米ドルと相反するのが基本のはずですが、米ドルが上昇した時に金も上がることがあります。ほかの金融商品、株や不動産なども上昇するケースがほとんどです。
これには、アメリカのドルの世界的影響力が、昔と比べて低下していることが理由であると考えられます。
現在のゴールドの価格は「歴史的な高値圏内」にあると言われており「アメリカの景気は絶好調」と言われています。どっちも高いのですね。この状況は何を意味するのでしょう?
ゴールドの価格が語りかけます。それは、本当の昔の全盛期のアメリカと比べた場合「今の景気の良さはまだ大したことではない」という事実です。
つまり「アメリカにはまだまだ成長余力があり、米ドルはまだ続伸する可能性を秘めている」のです。また一般的なアナリストとは違うことを言っていることになると思いますが、これこそが、真の専門家が少ないファンダメンタルズ分析の成せる技です。
「皆と違うことを、自信を持ってできる人が相場でも勝っていける」投資家向けのメンタルの本に書かれていたこととも一致する気がします。
ゴールドの代替となるか?仮想通貨の可能性
話は変わりますが、近頃ゴールドの代替として仮想通貨「ビットコイン」が注目されています。
ビットコインは、ゴールドと同様に発行者が誰か明確でなく、特定の国家の介入も受けず、人類すべてに共通の価値をもつ、金利を派生しない、などが主な特徴です。
これらのことからビットコインには将来、ゴールドに代わるものとしての価値があるとされています。
最近の高騰からも、ビットコインは財産性に非常に優れているとは思いますが、決済用、つまり買い物をするのには、怖くて使いづらい点はデメリットです。これが普及への妨げとなっています。
通貨としての価値が上昇するうちは、使う側にも受け取る側にもメリットがありますが、いったん暴落し始めると歯止めは一切効きません。おそらく、この先も乱高下すると思いますので、金の代わりになる可能性への道のりは遠いでしょう。
一方、カナダ、シンガポール、フィンランドなどでは、この仮想通貨を法定通貨に採用をしようという動きがあります。
また日本でも、三菱UFJ銀行の「MUFGコイン」が世界の法定通貨の座を狙っており、アジアの仮想通貨先進地域であるシンガポールにも拠点を構え、価格の安定化も含め日本で実用化に向けたテストを行っています。今後の活躍の動向を注視したいものです。