ファンダメンタルズ分析において「GDP」という言葉はよく聞くと思いますが、「GNI」はご存知でしょうか。きっと認知度は極端に下がるのではないかと思います。

どちらも「一年間で、どれぐらいのお金を稼ぐか」の指標値であるところは同じですが、GDP (Gross Domestic Product)が国全体であるのに対し、GNI(Gross National Income)は「一人あたり」の指標になります。

みなさんは主に、GDPを使って投資に必要な分析を行い、FXトレードなどしていると思いますが、これからの「国家」がどうなるか、と考えたときに不安に思うことはたくさんあると思います。

 

「国家」単位では先行き不安なことばかり

例えば日本の国家予算は、1972年に赤字国債を発行してからずっと赤字のままです。GDP比で世界と比べると、「世界一借金を持っている国」のひとつが日本です。この事実を知れば、先行きに不安を感じて当然です。

なお、借金についてはほかの国でも似たような状況です。

アメリカは借金の総額が世界一と言われていますし、中国も借金をどんどん増やしています。つまり世界は借金漬け、この借金の主体は各国政府にあります。

政府は主に税金を、家計と企業から徴収しています。

家計は国の決定に従うしかなく、企業はというと最近の不祥事などからすると、自分のことしか考えていない。このことは「別の記事」でも解説しました。

「企業の不正」の話を少々。

自分の製品に欠陥があって利用者が傷ついても自分たちが儲かればよい、という不誠実な企業が、日本に増えています。

これまでのところは経営的に余裕のある会社の問題が発覚していますが、今後は経営不安が起こりつつある会社でも「経営を立て直すため」などという理由で間違った方向に不正が行われ、発覚も頻繁化することでしょう。

結局そのような会社は倒産の憂き目にあうのでしょう。

不正が起こるのは、お金儲けのことしか考えられていないことが原因であり、経営者は不正が起こる土壌になっていることを理解していません。

このため不正も何度も繰り返される可能性があります。企業は本来、社会に貢献をしよう、社員を幸せにしようという意識持つことが基本であるべきです。

この意識が希薄になっている企業では、不正も起こるのです。こういった現在の世の中の状況は、みなさんが将来年金世代になるときの不安感を相当煽ると思います。

「社会のため、人のため」はFXでも考えたい

FXトレードにおいても同じことが言えます。自分の儲けのためだけにやっている方は、いずれは大きく資金を失う機会が訪れ、市場から退場を余儀なくされることでしょう。

自分は目先の利益だけを追っていないか、今考えている相場観は、世のためになるのか、その値段を相場が実現することによって、世の中がどうなるか、を想像しながらトレードできれば立派であると、個人的には思います。

特にテクニカル分析をしていると、相場観が一人よがりになりがちです。

「値動きには人間の感情が織り込まれている」とは言いますが、実際にテクニカル分析で見る数字は人の感情を逆なでしますので、結局は大損で終わってしまうのだと思います。

GNI同様「個人」に焦点を当てるという考え方

企業の不正だけでなく、政治家の汚職事件も絶えません。これらはいずれも「自分のことしか考えていない」人が非常に多いことを意味します。世の中が荒廃する原因です。

ですから組織体には見切りをつけて「これからは個人の時代」と考える人も増えています。

FXのような個人でお金を稼ぐ手段が人気を集めているのもこの流れですね。今後、個人に焦点を当てることが世界のトレンドになっていくと思います。

ファンダメンタルズでいえば、GDPの60~70%を占めている「家計」に焦点を当てて投資をするという考え方もできると思います。

GDPでは個人が裕福かどうか分からないのが欠点

GDPは国家単位のランキングですが、最大の欠点は「単純に、人口が多い国が一番になる」ということです。例えば、中国の人口は13億人でGDP世界2位の経済圏ですが、アメリカは人口3億人と、中国の4分の1以下にもかかわらず、中国を圧倒的な差をつけての1位です。

国家全体としては世界の上位にいる中国も、GDPの数字を人口で割ってみれば一人当たりの数字はアメリカの7分の1以下です。

個人の生活レベルに圧倒的な差があるだろうことは、容易に想像ができるでしょう。

現在のところは中国よりもアメリカが、国家としても個人としても裕福です。

ただし中国の経済成長が加速して国民一人一人も裕福になれば、この人口の多さですから、あっという間に世界1位の経済圏になることは間違いないです。

「GDPの数値が高い=国民が裕福ではない」のです。GDPでは実は、世界を正しく分析できていないということ、お分かりいたただけたでしょうか。

GNIをこれからの投資戦略に活用する

GDPとは算出方法が異なり、「個人の」総生産力を表しているGNIは、数値が高ければその国の個人、一人一人が豊かであることを示します。

今後はGNIを使い、個人の所得や消費が多い裕福な国に投資をすると他の人より優位になれると思います。

個人が豊かな国は、なかなか没落をしないものです。

なぜなら企業の経営者も役員も国会議員も、元をたどれば家庭をもつ一個人だからです。生活が満たされていれば目先の利益を追う必要もなく、不正をする必要もないし、不正を許さない土壌も自然にできあがるものです。

ちなみに世界1位のGNIを誇るのはノルウェーですが、日本のGNIは400万円でドイツや香港よりも低いです。

日本は世界的基準で見れば決して裕福な国ではないことも、日本人として自覚しておいたほうがよいでしょう。

一人一人が豊かな心を持てば国も裕福になれる

あなた自身がこれからどう生きるかによって、国の将来は変わります。精神的にも金銭的にも裕福になれば、目先のお金にとらわれて不正を働くこともなくなるでしょう。

そうして国全体が豊かになることができれば、将来への不安も大きく軽減されます。

FX投資への今後の一手としても、資金と心に余裕ができることで、よい結果が出やすくなるでしょう。