GDPデフレーターとは一般的にGDPの統計の価格に関連する指標のことです。名目GDPのうち物価変動による成長分をGDPデフレーターで調整して実質GDPを算出するのです。

この概念を端的に表すと、GDPの成長からその国の金利を差し引いたものです。金利は経済が成長すると伸びるわけで、金利がすなわち成長分と解釈できるのです。

日本の金利の場合、日本銀行が長期はゼロ、短期はマイナスに誘導しています。実際のGDP成長率はアベノミクスの成果でマイナスではありませんが、実際のGDPデフレーターは100を境に行ったり来たりしています。これはつまり、潜在成長余力はないに等しいと言えます。

例えばGDPの成長率が1パーセントで、金利がゼロかマイナス0.1の場合、その潜在成長力は、1か0.9になります。その基準でこのグラフを見ると、100以下になっている年がある日本は、よほどダメな国ということになってしまいます。

一方でアメリカは、潜在成長力の違いをこのグラフで見せつけています。もう解説する余地もないくらいの右肩上がりです。

潜在成長力がゼロなのに景気がよいのか?

異次元緩和が始まったのは2013年ですが、公定歩合がゼロに設定されたのは何年前だったでしょうか。物価上昇分がそのままGDPデフレーター、潜在成長力になるのに、金利がゼロになってからは、ずっとゼロ近辺をうろうろしているのです。

潜在成長力がゼロ、全く成長の見込みもないのに、景気が良いと騒ぐのはどういうことなのでしょうか。

金利がゼロかマイナスであれば普通は、潜在成長力がよくなるはずなのですが、100近辺ということは全く良くなっていないことを意味します。

つまり、現在の「景気が良くなった」とは、一番悪いときからほんの数ミリよくなった程度の話なのです。1995年から22年も経過しているのですから、景気が良くなる場面はたくさんあったはずなのに、実際良くなっていません。

政府は有効な政策を全く打てていないこと、みなさんからお叱りを受けるのも当然です。

全員そうではない、という反論もあるかもしれませんが、日本の政治家の皆さんは、職務をおろそかにして別のことに忙しく、結果を出していないのに偉いままです。任期が長いほど大臣になりやすい日本の仕組みは、ふさわしくない人が大臣になることになり、国はいつまでたってもよくなりません。

日本の統計や経済指標は、調べれば調べるほど、日本の政治家が努力していないことが明らかです。それで私はこれまで、あまり日々コラムでは触れてこなかったのです。

お金の循環が滞ってしまうのは年金問題のせい

前東京都知事の舛添氏は、100年安心、年金問題などと吹聴して都知事になりました。しかし将来の支給が減るのに、若いうちに納めなければならない金額は増える、このしくみがなぜ安心?解決策もなく与党が放置しているものを、安心と言える理由が私には分かりません。

国家の根幹を為す制度が崩壊し、高校教育無償化や幼児教育無償化のようなわけの分からない新しい制度ばかり作ろうとする。

それよりも何よりも、年金問題にきちんと向き合って改善するのが先だと思います。

年金のことを本当に安心に思えなければ、誰も安心して働けない、稼いでも老後が心配だからひたすら貯蓄する、日本全体にお金の流れが発生しない悪いスパイラルは変わらないままです。

さらに消費増税などすれば、国民がますますお金を使わなくなることが目に見えていますよね。

このような現状や、日本の経済指標を研究すればするほど、日本の将来が暗いと判断するしかない状況です。一部の著名アナリストのように株高や円安なんて、本来なら言えるはずがないのに、と思います。

日本の明るい将来のためには、何をするべきか

日本の明るい将来のためには、有用な資源開発を行うべきだとも思います。日本近海に埋もれているメタンハイドレートをきちんと実用化できるように、こちらに熱を上げるべきです。

メタンハイドレートが実用化されるまではずっと、日本は苦境のまま耐えなければならないと思います。

無駄とまでは言いませんが、高校や幼児教育無償化はもっと後でもよいと思います。

石油が発掘されたノルウェーでは、高福祉高税金国家となり今では一人当たりの稼ぎが世界一になっています。日本も日本の資源を実用化すれば、こうなれることもあり得ます。

日本にも、資源実用化のところは抜けて、ノルウェーに見習って社会を効率化しようという議論があります。しかしノルウェーで石油が開発されるまでは、人々がどんな貧乏な暮らしをしていたかは、話す人はおらず日本ではほとんど知られていません。

経産省のありかたも変えるべきではないか

経産省は、大企業に予算を投入しても失敗ばかりです。地デジ放送で家電メーカーを救ったのはいいですが、その後テレビ事業は軒並み売却か撤退、という見込み違いをしたのも経産省でした。原発も同様です。

この間もNEDOが補助金をだまし取られた話がありました。NEDOも経産省出資ですし、中小企業へのあっせん融資も経産省OBが行っています。

役に立つようなお金の使い方ができない経産省、日本近海の油田開発は経産省ではなく内閣府直轄事業にするべきだと、個人的には思います。

何をしても自分の給料は安泰という、緊張感のない人々に仕事をやらせて、結果は出ても出なくてもよいのが日本なのです。お金の使い方を間違えたら退任させられるような仕組みになるとよいのでしょうけれど、無理でしょうね。

このような日本であなた自身この先何ができるのか、これまでとこの先の解説を読みながら、ぜひ考えてみてください。