おはようございます。
久しぶりにご質問がありましたので回答をしていきたいと思います。なお、ツイッターにて質問をされる方がいらっしゃいますが、質問されている方の意図がさっぱりわからないケースがほとんどになります。
字数制限のないこちらでしていただくと大変、ありがたいです。
こちらとしても、できるだけ疑問にお答えしようと思います。ここに書いている通り、出し惜しみなく書いてまいります。ただし、わからないことははっきりわからない、と記します。
今回の質問は下記になります。
2つ質問させてください。
①9月以降の金利変動を比較すると、アメリカ金利は(比較的)横向き、日本金利は右上がりになっており、金利差は縮小傾向にあります。
それに対して、ドル円は円安(=右上がり)になっており、一般的な「金利差縮小は円高」でなく、本サイトで学んだとおり推移していると感じます。
しかし、1月7日のコラム「ふたたび金利に焦点が集まるマーケット」では、アメリカ金利は5月まで低下して円高になると読み取れ、少し混乱しています。
どのように理解すれば良いでしょうか。②本コラムでは、アメリカ株式は好決算で上昇、日本株式は決算が悪く低迷とされています。
すると、アメリカ>日本で円安と考えて良いでしょうか。
為替相場は金利差なんかではない!
よく、知ったかぶりの専門家と称する連中が為替相場は基本的には「金利差」で動くと偉そうに抜かします。
では、金利差が拡大をしても、円高になぜなるのか? という命題に対しては逃げ回り、一切の回答を与えてくれません。
要するに、ある場面ではこのロジックは通用し、ある場面では全く機能しないような理屈など、間違っているからなのです。なぜ、通用しなくなるのかは書くことがなく困ったときに記します。
こんなことが蔓延っているのは、この「金利差」理論は日銀の幹部が言い出したからです。これを言った日銀幹部はもうすでにこんなことは言っていないと思いますが(笑)、万が一、そんなことを今でも言っているようであれば相当な妄想家、ないしはおバカさんであると断じておきます。
実証主義である官僚が今でも、こんなことを言っていると思えません。
私は、ずっと為替の計算式は
(ドル×金利)÷(円×金利)=ドル円レート
と記しています。
これは、為替レートというのはアメリカの物価と日本の物価が均衡するために存在をするからだ、という理屈からきます。
その典型理論がビックマック指数です。
ようは日本のビックマックとアメリカのビックマックが同じ価格になるはずという理論です。
たとえば日本のビックマックが100円、アメリカが200円であれば、この値段を均衡するのには為替レートは2円であれば均衡をする訳です。
その際の計算は200÷100なのですから、上記の式と同じということです。
さらにいえば、この為替レートで海外旅行に行けば、その威力をみなさんはお感じになると思います。現地によって、多少の差はありますけど、たとえば、年収が50万円の国というと何もかもが安くなるイメージになります。
ところが実際に行ってみると日本の物価の2-3割安と思うでしょう。ゆえに、為替レートは物価の均衡を目指しているということが実体験としておわかりになると思います。
反対にアメリカにいけば、すべての物価が高く感じます。とくにNYなどの大都市ではバカ高いと感じるでしょう。
これは何を意味するかといえばドル円レートが割安すぎるから、物価が高く感じるのです。ゆえにトランプが言うようにドルが高すぎるという主張は絶対的に間違いではなく、間違えているのは日本の財務省や日銀なのです。ドル円は現在、2.5割ほど割安です。
だから、長い目でみれば円高になる、と私は常々言うのです。
さて、質問の回答をしていきましょう。
これは質問者の方に限らず、著名な方、一般的に頭のよいとされる人もまったく問題視していませんが、ロジックをごちゃごちゃにしているのです。
端的にいえば、短期的視点と長期的視点、そして絶対値と相対値の違いを明確に意識を話している人、そして書いている人を私はみかけたことがありません。
つまり、長期的、短期的な視野をごちゃごちゃにし、さらに絶対値と相対値の区別ができないからデータの加工も間違えているのです。
ゆえに、日銀の幹部もそうですが、予測が明後日の方向に行くのです。民間のアナリストでこの区別がついている人などみたことがありません。特に証券会社に紐づきアナリストはどうしようもないレベルです。
今回の問題は、現在、ドル安の方向に向かっています。
ドル安ということは、日本でいえば円安と同じことなのですで、アメリカの輸入物価が上昇をします。中国への制裁関税でも物価が上昇をしなかったのは、ドル高がそれを相殺をしていたのです。
今回の場合はドル安と関税制裁を同時進行になる訳です。
しかし、物価の上昇は、ドル安、円安になればすぐに起こるということではなく、為替レートが通貨安に行ってから6か月後に起こるものなのです。
ゆえに、トランプはドルが高すぎるといったのは12月ですので、その半年後は6月、6月から輸入物価が上昇し、そして、その金利の上昇を引き起こすといっているのです。
参考までに卸売物価指数、企業物価は3か月後に上昇をします。
その典型は今回の貿易交渉です。トランプはゴールデンウィークに貿易問題をぐちゃぐちゃにしましたが、11月にはなぜだが終息の方向にもっていこうとしたのです。
その理由はかんたんで貿易の効果も経済に深刻な影響を与えるのが6か月後だから11-12月までには楽観ムードを作りたかったのです。ですから、年末には合意してもしなくても矛をトランプは納めることはわかっていてましたし、またその通りになっています。
中身が何もないのは先日解説をした通りです。
つまり、5月から金利が上昇するといっているのは輸入物価が主な原因であり、物価と金利は連動するのですから金利が上昇するといっているのにすぎないのです。
参考までに日本は円安、円高の方向性が出ていませんが、若干の円安方向になっています。すなわち半年後に物価上昇をするでしょうが、その前に日銀が金利を引き上げてしまっているのでよくわかりません。
また物価に影響を与える原油価格など上がっているとみなさん勘違いしていますが、下がっている傾向です。
ゆえに物価はそれほど変化しないでしょう。この原油問題にしても、イラン問題にしても私がすべて言った通りの展開です。
イランの問題の本番はこれからです。現在の政府首脳の認識は明らかに間違っています。
自衛隊を派遣しても何もすることがない、となどほざいていますが、問題の根幹を大きく見誤っています。イランの問題はこれからが本番です。
ロジカルに説明しよう!
また、ご質問には、株価の問題にも触れています。
先に申し上げておきますが、質問者の方の理解が悪いという訳ではなく、こういったロジカルな考え方ができる方が現在、ほとんどいないような状況です。
たとえば私と話している人なども、かなり頭の良い秀才なのですが、私がロジックはごちゃごちゃになっていると指摘されてはじめてきづく人が過半の人なのです。
まず、ご質問の意図は、株価と為替の区別がついていません。
あくまでも、コラムでは株価についてコメントをしただけであって、実際に為替相場はこう動くということではありません。
なぜなら、株価が上昇しても円高のケースなどいくらでもあり、反対の場合もしかりです。
みなさんは勝手に、株価が上昇すれば円安、下落すれば円高と思い込んでいるだけで、実際は株価と為替相場は相関関係などにありません。
これは金利差の問題でも記しましたが、勝手に思い込んで、その通りにならなければ知らんぷりというのは小学生の態度であり大人の対応ではないと私は思います。
何度も繰り返しますが、株価と為替は順相関でも逆相関の関係でもありません。これは、ドル÷円を実践していれば、わかることです。
さて、本日の為替相場の展開は、週足の30をみれば目途はわかります。この足は円高ですか、円安ですか、を考えれば答えは出ます。ただしオーバーシュートに注意です。
オーバーシュートに騙されないようにするためには短い足をみればいいのです。短い足というのはタイムスパンのことです。
本コラムの質問をした者です。丁寧なご回答をありがとうございました。
金利差が縮小するからではなく、金利低下で経済が活発化=国力が大きくなるため、円高ドル安になる、と理解しました。
また、1月29日のコラムなどを拝見して、次のとおり予想されていると理解していますが、正しいでしょうか。
<5〜6月まで 円高ドル安>
・コロナウイルスによる中国の生産性低迷
・ダウが高すぎるため調整が入る
・2019年前半の経済指標が良すぎるため、相対的に2020年前半の経済指標は悪化する
<5〜6月以降 円安ドル高>
・2019年後半の経済指標が悪いため、相対的に2020年後半の経済指標は改善する
・日本の補正予算の効果が現れる