おはようございます。
ここのところドルの価値が理屈通りに動いておらず、ここらでまじめにドルがどのように上下するのかを考えなければ、いけない状況になっています。今回はその解説と、最後に本日のマーケットについて。
ドルの価値
たとえば株価は①ドル②金利③GDPの変動要因によって動き、金利は①物価②政策金利③財政赤字④通貨供給量によって動くということでこれらの動きはほぼ説明ができます。
以前、触れたようにドルに関してはその動きはわからない、不透明と言っていましたが、今回は仮定条件としてドルの価値の定義を①株価②金利③GDPと定義していくことを条件として考察をしていきたいと思います。
株価からの考察
株価というのはほとんど24時間動いており、また、毎日、変動していることからドルの価値を定義するのにはベストな指標と言えることは疑う余地はないでしょう。
この株価の動きとドルの動きは、株価が上昇すればドルも上昇し、そして下落すればドルの価値も下がるということになります。これに疑義を呈する人はおそらく皆無でしょう。
ドルが上下する原因として株価を挙げることに、異論がある方はいないと思います。
金利
これは上記であげた株価の変動要因にも挙げていますので、ドルが上下するためには株価の上下もリンクしているとすれば、金利も関係があるということになります。
この場合の計算式は、他の価格構成要因と違い、ドル×金利となるということです。たとえば年間の金利が10パーセント上昇すれば、その計算式はドル×1.1となります。
その比較を前年比で比べた場合、ドルは去年が前年と比較をした場合、20パーセント減価していた場合は0.8×1.1=0.88となります。そして、現在は1×1.1=1.1になりますので、その変化率は0.22となることに留意をしてほしいと思います。
注意点としては、ドルインデックスというものは金利を含めた数字でありドルインデックスの計算式はドル×金利になっているのに対して、名目実行為替レートは金利が含まれていません。
実質実効為替レートも存在はしますが、これはBISから月に一度しか発表されません。この違いには留意する必要があるでしょう。
GDPについての考察
GDPが強ければ、ドルは上昇し、弱ければドルは下落をする、というのには異論がないでしょう。たとえばきのう、ISM製造業が発表されましたがコンセンサスよりも弱いということはドルが弱くなるのが当然なのに、ドルは上昇をした、という事実をみればここ最近の動きはおかしいということができます。
この辺はいろいろな点を考察していかなければいけないのですが、その計算方法が確定していないというのが現実です。
総合的に考えていく
たとえば、10-12月のGDPは年間比でマイナス4.2と発表されました。それに対してドルは8パーセント下落をしていますので、名目GDP(本当のGDP)は12.2パーセント下落をしていることになります。
そこに金利は、年間40パーセントの下落になりますので-12.2+40=27.8パーセントとなります。
この金利とドルのベースで価格が決定しているのはナスダック市場であり、そのナスダックは現在、前年比で45パーセント高になります。
日々の計算では35パーセント高が妥当な値段であり、10パーセント、ドルの年間ベースでは17パーセント高いということになります。
ここから得られる結論というのは本日はナスダック売りということになります。
一方でドル円は、円の価値は年間3.5パーセント下落をしています。ドルは6.5パーセントの下落ですので、円>ドルとなり今までのドル円はドルの価値が下落したことによって円高になったということができます。
リスク回避の円高と間抜けなことを言う専門家と称する人間が非常に多いのですが、今回の円高はドル安にもたらされたものであり、リスク回避の円高ではないのに、リスク回避と言い張るのは何もわかっていない証拠です。
ロジックを見つけだすと、ほとんどの専門家が何もわかっていないことが判明してくるのは先日、お話しをした通りのことです。
そして、先日のイエレン財務長官の議会証言にてドルの価値はこれ以上下げさせないということがコンセンサスとして出来上がったわけです。つまりこれからドル>円になりますからここ数日の円安につながっているのです。
このように為替市場も金利市場も、ロジック通りにしか動いていないのですが、そのロジックを解明できもしない専門家が専門家と称して円高だの円安だの騒いでいるだけの話なのです。
では、きのうの動きは、ISMは下がるのはコンセンサスで分かっていましたので、私はドル安になるでしょ、と言っていたのです。ところが蓋を開けてみればドル高、と、訳のわからない外電になっているのです。
さらに、景気が悪ければ金利は下落するのですが、上昇している、ということも訳が分からないわけです。
つまりセオリー通りにドルの価値は動いておらず、この解明にまた1年間を費やすことになるでしょう。
ただ、こうやって動く要因をきちんと解釈すると、去年、おととしよりもマーケットがはっきり見えてくるようになっているのも事実です。
アメリカの金融機関のほとんどが、トレーダーをAIに置き換える意味は、こうやって計算式に置き換えることがマーケットは可能だからトレーダーを首にしているのです。
しかし、計量経済学学会の初代会長はオーストリア出身のシュンペーターになりますが、彼の信念には、方程式ですべての経済事象が説明できるわけがない、というのが彼の意志になります。
それに対抗をしたのがケインズになりますが、ケインズというと計量経済学の始祖と思われがちですが、本当はシュンペーターになります。
シュンペーターの有名な理論は景気循環論になり、みなさんがご存じなものは、ジュグラーサイクルやチキンサイクルなど、みなさんも義務教育で学習をしていると思います。
私も数式を多用しますが、計量経済学など実体の一部の断面しか説明できず、全体像を把握するのには人間の優秀の頭脳である脳みそのほうがそこいらの優秀なコンピューターよりも数万倍優秀だと思っています。ゆえにAIで世の中は変わるとは思いますが、AIが人間を支配するとか、判断はすべてAIに任せればよい、なんてアホな発想はありません。
AIに頼ったマーケット被害は、フラッシュクラッシュなどの現象ですが、これは予期できるものです。しかし、FRBやBOJの専門家は、このフラッシュクラッシュを解明できていない、南アランドやJ&Jの急落などのレポートを読みましたが、ま、まるで理解していないよね、と思います。
ここで強調しておきたいのは今年から来年にかけてフラッシュクラッシュは頻発するよ、ということです。上記のロジックを完全に理解するとフラッシュクラッシュがなぜ起こるか、理解できるようになります。フラッシュクラッシュの起こる日にちの特定も可能になります。まだ、その域に私は達していませんが、理論上可能です。
話がだいぶそれましたが、結局、マーケットはロジックの通りにしか動いておらず、その動きが不可思議に映るのはそれはマーケットを理解していないからそうなるだけの話なのです。
つまりここ数日、私がドルの動きが予測不能というのは私がマーケットが理解していないから、ということになります。理解できないのは自分の責任だと思っています。
今後、数か月はドルの動きの解明に精を出したいと思います。
本日のマーケット
まず、株式からいきます。
ナスダックは上記でも示したように10パーセントほど高い状態です。
NYダウはほぼスクエア、理論通りの値段です。
日経平均は2-3パーセント安い状態です。
これによれば、本日はナスダックを売るのが賢明な判断になりますが、そうはならないのがマーケットです(笑)。
まず、日本時間は、まずグローバルスタンダードの状態からいえば、日経が安い状態、0.8パーセント安い水準でスタートします。株価が安いということは、円の価値は減りますので円安になります。
しかし、年間比率でみた場合には、日経は安いのですから、買われ、円の価値も増大するので、円高になります。
アメリカ時間になるとナスダックを中心に売られますので、ドルの価値が下がる、そしてドルの価値が下がれば円高になるという循環になります。
テクニカル的にはドル円もユーロドルもドル高の極限にきているとみており、ま、ドル安調整の局面になると思います。
私は日米しか計算をしていませんが、AIはアジアや欧州でも同じような計算をしているので、このプログラムを組めば、私が考える必要もなくなります。
実際のAIはその計算をやっているのでしょうが、現在のマネーの量は、史上最大規模で、その影響はマネーが増えた分の影響がでるでしょう。しかし、その影響はマネー増加に対して等しいということは考えられず、おそらく乗数効果を伴い影響が大きくなるでしょう。その計算はAIにできるわけがありません。
なぜなら今までやったこともないような金融緩和ですからデータがありませんから。そのプログラムを打ち込むのは人間で、その理解ができないプログラマーが100パーセントだと信じて疑いませんので、このプログラムを構築できる方は世界にいません(笑)。よほど人間の頭脳の方が優秀ということです(笑)。
きちんと事実と証拠に基づけばある程度の未来予測はできるものだ、と私は信じています。