「ファンダメンタルズ分析は、テクニカル分析と比べると優位性がある」これは別の記事でも何度も述べていますが、私はいつもこのことに確信を持っています。

今回は「ファンダメンタルズ分析ができると、どんなことが分かるようになるのか」についてお話をしたいと思います。

まずはテクニカル分析のお話から

昨今、テクニカル分析がたいへん流行していますね。実はテクニカル分析は、イエスキリストの時代から始まったものなのです。

もちろん公設のマーケットなどありませんのでそのための分析ではなく、当時のテクニカル分析は「明日の世界がどうなるか」「自分の住んでいる世界の将来がどうなるか」といったことを知るための研究に利用されていました。

人間は何によって支配をされているのか?それには天体が関係ある、というところに行き着いたのち、中世ヨーロッパまで研究されていた天体の動きにも、テクニカル分析が活用されていたと言われています。

私たち人間と地球上のすべての生物は、太陽、月、星座の動きによって支配されています。現代も全世界の人々は太陽の動きによって時間を認識していますよね。

太陽が地球上を一周するのにかかるのが「24時間」です。この太陽暦もテクニカル分析によるもので、光り輝く太陽によって私達の目に見える世界が形成されているのです。

ちなみに人間は光輝くものが好きですが、太陽の他に金などの貴金属に価値あるとされているのは、太古の昔からの人間の本能的なところからきています。光り輝く「火」を使うことで、人間の文化が発達したことも影響していると考えられます。

月と星もまた光輝くものですが、これらは太陽のような光を直接感じるのではなく、目を凝らさなければ見えません。月の満ち欠けを暦として人間の行動に活用している太陰暦の例もありますが、月と星は潜在意識に影響を与えること、とされて占いなどに活用されています。

「移動平均線」設定値のヒントになる

現代の人間は時間を知りたいとき、時計を見ればすぐに分かります。人間の行動の基盤とも言えるほど直接影響を与えている太陽暦、そして星や月の動きも人間の行動に影響を与えています。

チャートのテクニカルツールで最も重要とされているのは、「移動平均線」です。

設定値によって形が変わるため、どう設定したらより効果的な分析ができるのかと迷うことになりますが、テクニカル分析の歴史に「太陽」「月」「星」が大いに関係あることを知れば、これらの周期に合わせた移動平均線の設定を行えばよいだろうということになります。

それでは十分ではないからファンダメンタルズを

しかし、テクニカル分析での移動平均線の的中率は研究しつくされた感があり、もうあまり進歩しない可能性が高いです。

そこでファンダメンタルズ分析の出番です。しかし「ファンダメンタルズ分析」と聞いて大半の人が思い浮かべるのは、「政府が発表するものでしょう。」「何を意味しているのかよく分からない」と敬遠する方も多いかもしれません。

ここで、本当に分かりやすいのはどちらなのか、冷静になって少し考えてみてください。

株価は景気がよくなると上昇するもので、それで景気がよくなったと確実に分かります。テクニカル分析では景気の良し悪しまでの明確な判断はできません。

テクニカル分析しかしない人たちはたびたび、景気がまだまだ拡大傾向にあるのに「暴落する」と読み違えた発言をして投資家たちの判断を惑わせたり、さらには自身の投資でも失敗してしまったりします。

しかしここにファンダメンタルズ分析も加えることでテクニカルでは限界があった部分を補えることになる」のです。

ファンダメンタルズの優位性とは

さて、ファンダメンタルズ分析ができると、どんなことが分かるようになって、どう優位になれるのでしょうか。ここでは「4つ」の事柄について解説して参りましょう。

1.極めていくと本当に相場を読めるようになる

主には株式のことになりますが、ファンダメンタルズ分析を極めていくと、どこで株価が反転するのかは本当に分かるようになります。

株価は、そのものの「絶対的な」価値基準の値段で表されていますが、為替の特にクロス円相場は、他国との比較による「相対的な」価値基準の値段です。

例えばドル円とは「アメリカと日本の経済格差の値段」で、「円単体の値段」は表示できません。

特にクロス円の価格形成理論は非常に難しく、理解できるまでに非常に時間がかかります。ほとんどの投資家は理解していないのではないでしょうか。

しかしマーケットを知るにあたり、価格形成理論は根本的で重要なことなのですから、積極的に学ぶべきなのです。

2.金の価格と為替相場、景気の関係をロジカルに理解できる

投資家が知っておくべきことはさまざまありますが、そのうちの一つには「為替相場と金の価格との関係性」も挙げられます。

例えば、
1.金の価格が高騰するのは、国家の財政が破綻するとき
2.円安になれば金の価格も上がる
と覚えている方も多いと思います。
なおドル円相場は、
3.日本経済がアメリカ経済よりも成長しているときに円安になるものです。

この3つ、なんだか変ですね。「財政破綻」と「経済成長」どちらでも結局金の価格は上がることになるのでしょうか?ゆっくり整理してみましょう。

金の価格と円の関係の真実とは

日本が財政破たんして日本の通貨である円の価値が下がる、このとき金そのものの価値の方が上昇するのは当然のことです。

外国通貨に対して円の価値が下がることを円安といいますが、実際に円安になるのは、日本経済が破綻したときではありません。成長して日本の価値が高まりつつあるときです。

経済成長すると円の価値が下がって円安?ここが矛盾しているのですね。でも実際の為替相場ではそうなります。アベノミクスもそれで成功だと言われていますよね。

金の価格は「日本の景気がいいときに」上昇します。そして「破綻するときも上昇します。」やはり「どっちでも上昇する」のです。金と円を比較するとそうなります。

景気がいいときは債券価格は低迷し、金利は上昇して高くなります。日本が破たんするときは、債券はたたき売られ、金利はハイパーに上昇します。通貨は円高に向かいます。

なお、円安や円高と表現すると、一般的には米ドルに対しての話になってしまいますが、金の価格と円の関係性を考えるときには「そのときドルがどうなるか?」は切り離して考えたほうが分かりやすいです。

ちなみにドルは『金と相反する値動き」になります。第二章の記事で金(ゴールド)について詳しく解説していますので、ドルとの関係についてはそちらをご覧ください。

⇒ 【第二章】マーケット全体に大きな影響を与える「金(ゴールド)」を知ろう

こうしてみると、条件が相反しても、価格や金利の向きは相反しないことが分かります。このようなことをロジカルに教えられる人は、ほとんどいないと思います。

一般的なFXのアナリストはただ単に、「円高のときは金が下がる」と解説していることが多いと思いますので、今後はぜひ注意しましょう。

巷にはたくさんの著名アナリストがおり、各人がメディアや書籍で持論を展開しています。投資に関しては特に、著名だとしても彼らの話がいつもすべて正しいわけではありません。

彼らの話が正しいかどうかはどうやって判断したらよいのでしょう?答えは簡単です。その答えとは「自分で勉強すればよい」のです。

3.詐欺に遭いづらくなる

投資家自身でファンダメンタルズのロジカルな思考ができるようになると、投資に役立つだけでなく「この人が言っていることは本当なのか?」の見極めもできるようになります。詐欺にも遭いづらくなるのです。

例えば仮想通貨の高利回りの話なども、自身で適正な金利を知っていれば「そんな金利が付くわけがない」と分かり、詐欺であると気づくことができます。そもそも「おいしい話」などそうそうあるはずがない、と考えるのがまともな思考の人です。

世の中にはいろいろな詐欺話がありますが、常識を持ってまともな思考ができる人ならひっかからないだろう、と思えるものがほとんどです。

例えば、仮想通貨を使用して事業を立ち上げるための資金調達を行う「ICO」も、株式のIPO詐欺を少し変えただけのものです。IPO詐欺を知らない人たちが詐欺のターゲットにされていると思います。

中には還付金詐欺やオレオレ詐欺など、ここで言う「ロジカルな思考」や「当たり前の発想」ができづらいだろう人を狙う犯罪者もいて、それはもう本当に許せないことだと思います。

聞けばこういった詐欺は、元は金融機関に勤務していた人が多いということ。こんなでは金融機関に対する印象や信用度も大きく変わってしまうというものです。

4.誤った解説に振り回されることもなくなる

ファンダメンタルズ分析で、アナリストの解説を頼りにしている人も多いとは思いますが、アナリストは、一度言ったことが外れると詐欺師扱いされてしまうことがありますね。

景気の良し悪しなど判断できないテクニカルだけの分析結果で、景気拡大期に「売り」と勧めてしまう。それに従って損を被った人から責められるのです。

テクニカル分析でのトレードは、分析の結果が出たらもう主観は入れずにその後のルールに従って売買を執行するのが鉄則とされています。

「100%正しい判断ができないこともあって当然である」このことはテクニカルを勉強している人なら分かるはずです。

しかし人に頼ったことで、詐欺に遭ったと人のせいにしてしまうのですね。

自分でファンダメンタル分析ができるようになれば、他人のせいにしなくてもよいし、損を被る確率もおのずと下がってきます。

また、日本の投資家で「1億円儲けました」と注目を浴びる人が絶えません。

彼らは大抵テクニカル分析でトレードしていると思います。そして彼らが通常2~3年で消えてしまうのは、テクニカル分析のデメリットが災いするためなのです。

結論としては、「相場で長生きをしたかったら、テクニカル分析だけでは足りないから、ファンダメンタルズ分析も行ったほうがよいです」ということになります。

ファンダメンタルズ分析の特徴

特徴といってもいろいろあり、上記よりは優先度は下がると思いますが、以下のようなことも優位点と言えると思います。

ファンダメンタルズ分析をできる人が、テクニカル分析に比べて非常に少ない

「小難しい言葉ばかり使う専門家が多い」という印象があると思います。

このことは、ファンダメンタルズの分析方法はいまだに大衆化をしていない、まだまだ研究余地のある分野であることを示します。ライバルが少ないとも言えると思います。

本当の「専門家」がほとんどいない

ファンダメンタルズの重要性を連呼する自称専門家でも、話をよく聞いてみると実は何も理解をしていないことがほとんどです。そのような人たちの予想は全くあてにはなりません。

実力が伴わない専門家には注意しましょう。あなたがこれから先、「専門家の一人」になっていければよいと思います。