おはようございます。ここ最近はロジカル、もしくは論理的に考えることをテーマに書いています。あまりネタはないので期待しないでください。

本日はアメリカ経済が利下げする、なんて論調が大勢を占めています。

利下げをするということは、アメリカは景気が悪い、という単純な発想ではなります。でも、私はアメリカ経済の景気が良い、と思っている。

この差はなぜ、生まれるのか、という話をしていきます。

アメリカGDP

きのう、1-3月期のGDPが3.1と確定値がでました。この数字をみて、きちんとGDPの数字を追っている方にとっては、どうして景気が悪いんだ、ということになります。

では、実際のアメリカのGDPの数字をみていきましょう。

これは、アメリカのGDPの絶対値、つまり1年間でアメリカ人が稼ぐ数字を「実数」で示したものです。

これをみて、毎年、成長しているのだから、アメリカ経済が悪い訳がないということになります。ただし、上記のグラフは、2017年までしか示していませんので、違うでしょ、という方もいるかもしれません。

この計算は非常にかんたんなのです。

これはアメリカ経済の年率の成長なのですが、2018年はだいたい3パーセント成長、2019/1-3月期は、このグラフは3.2になっていますが、きのう3.1という確報値がでました。

では、2018年の3パーセント成長というのは、何に対して3パーセント増えたのか、ということを考えると、その比較対象は、2017年のGDP総額、つまり1番上のグラフに1.03を掛けたものが、2018年のGDP総額になるのです。

では、2019年の1-3月期のGDP総額は、先ほど計算した2018年のGDP総額にたいして、さらに1.031を掛ければいいだけの話です。

つまりこのグラフにはまだ描画されていませんが、2018年のGDP総額は、19485.39×1.03=20069.95になります。2019年はこの数字にさらに1.031を掛ければいいだけの話です。

0069.55×1.031=20692.12になります。

つまり上のグラフは2018年の数字と2019年の数字は書かれていませんが、2017年の数字よりは確実にGDP総額は上になっているのです。

これで、アメリカ経済が悪いといっているアナリストや専門家はアホだと思いませんか? 私ははっきりいえばバカです。本当にわかっている人はアメリカ経済を、単純に良いとか悪いとか、言いません。もっと慎重な言い回しになると思います。

ではアメリカ経済が悪いという根拠の説明

上記では、アメリカは、3パーセント成長が近年にはなかったのですから相当良い、という根拠をお見せしました。

でも、アメリカ経済が悪いというのにはそれなりの根拠が必要になります。その根拠は何からくるのかの話をします。

アメリカ経済の年率でみると、ずっと、4半期ごとに発表される数字は、前年の同月比でプラスになっています。この意味は2019/1-3月期が3.2というのは2018/1-3月期のGDP総額よりも、3.2パーセント増えたという意味になります。

参考までにアメリカのGDP総額は日本の500兆円の約4倍になりますので、2000兆円です。その1パーセントが20兆円、0.1だと2兆円です。

2兆円というのは庶民感覚でいえば天文学的な数字であり、GDPが0.1減った、増えただけでも大騒ぎして当然ですが、0.1の変化だと何も感じないのが通常の神経です。

何が言いたいかといえばGDPの変化が0.1であっても大騒ぎをして当然なのですが、ほとんどの投資家は0.1の変化に無反応だと思います。実は大変な金額が動いていることをきちんと知ってほしいと思います。

でも、上のグラフだと、悪い根拠にはならない、ということです。

これはアメリカ経済の前年同月比ではなく、前月比のグラフです。

前年同月比は2019/1-3月であれば、その対象、つまり比較数字は2018/1-3月になります。前月比の比較対象は、2018/10-12月になるのです。

これをみていればおわかりになると思いますが、まず、為替の理論値の計算の仕方でさんざんにいいましたが、絶対値と相対値は全く似て非なるものだ、と言いましたが、その意味はおわかりになるでしょうか?

同じ数字でも絶対値と相対値では、天と地ほど違う、ということはおわかりになると思います。相対値というのは比較した数字であり、その典型はマーケットでは為替レートなのです。ほかの株価、債券、商品価格などは絶対値なのですが、為替レートは相対値になりますので、そもそもその計算の仕方が根本から違うのです。

GDP総額は絶対値なのに対して、パーセント表記のものは、相対値なのです。つまり比較対象があって初めて成立する数字であり、相対値を見た場合、たいていの場合はパーセント表記になりますが、かならずその比較対象がどこにあるかをみなければいけません。

話が逸れましたが、上のグラフは前月比のグラフなのですから、2019/1-3月は3.1になっていまが、その比較対象は、2018/10-12です。それにくらべて3.1伸びたと言っているのです。この数字はきのうの発表で確定をしたのです。

では、今期の2019/4-6月の数字を予想してみましょう。まず、前年同月比の2018/4-6月は4.2と驚異的な数字、なのです。グラフをみればわかる通りです。

2018//7-9も3.4と前期よりも落ちていますが、比較対象数字の4.2に対して、さらに3.4伸びているのですよ、当然、ものすごい成長になっているというのが、グラフをみた感じでは思うでしょうが、実際は、驚異的な成長が行われているのです。

でも、悪いと主張をしている人たちは、このグラフをみたまんまの感想、つまり幼稚園児でもわかるレベルでの話をしているのです。それだけの話です。

2019/4-6月の場合じゃ、2019/1-3月の数字と比較をするのですが、この3.1という数字に対して、現在の予測は1.5-2.5パーセント成長になると予測されています。私の手計算でも2パーセント前後で、今期よりは間違いなく減ると思います。

前年同月比の比較対象は、2019/1-3月の対象は2018/1-3の2.6ですからま、それを超える成長ができた、ということです。

でも今期の比較対象は2018/4-6月の2.9、という近年、経験したことない成長ですので、これを超えることは難しいでしょう。

つまりグラフの上では減速をしているようにみえますが、GDP総額でみると、たとえば2パーセント台に成長が落ち込んだとしてもGDP総額は増えるのです。

まとめ

つまりアメリカの成長は全然とまっていないのです。それを悪化した、悪化したという連呼の報道には、私は正直、こいつらバカじゃない? としか思いません。

まず、みなさんの関心事である利下げについては、この説明をみてあり得ると思いますか? 利下げというのは、経済成長が止まって、そして不景気に入るときに行うものです。

たしかに成長率は来期から間違いなく鈍化をするでしょうが、でも全体としては、拡大しているのに利下げ、ってアホですか、としか言いようがないのです。

なぜなら、アメリカ経済は拡大している事実は数字を読めば、誰でもわかるのです。つまり金利利下げなど偉そうに主張をしている専門家、メディアは数字が読めないのです。もっといえば、上記の説明を読んでなんとなくも理解できない人は日本語が読めないのです。

いつも言うように数字を読むのには、日本語の読解能力が必要なのです。数字を提示されて、そのままの印象を語るのであれば小学生でも、幼稚園児でもできるのです。

その提示された数字をいかに読み解くことができるかが、データの専門家というのですが、そんな人はあまりデータアナリストにいません。わかっているようなフリをしている奴らばかりです。

これをシナリオ作成の文章にするのであれば

「アメリカ経済は悪い」

これだと何百通りの回答が出てしまいます。

ですから、主語命題を、

「過去10年に亘ってアメリカ経済は、拡大傾向で好調である。」

もしくは

「去年、もしくは1-3月と比べてアメリカ経済は、減速傾向である。」

とすれば、誰も異論など唱えません。つまり主語に対する条件設定が甘いから私のような馬鹿垂れにアナリストやメディアはアホと言われるのです。比較対象を明示もしていなく単に良いとか悪いなんて、頭の悪い小学生以下だと思っています。

じゃ、これで実際の相場をどう考えていくのかは、また次回以降です。しばらく主語と述語の話は続くと思います。

マーケットは、底値立ち上がりの足が出て、一旦急落になるという説明は以前から何度も話をしています。その場合の安値目途も説明していますので、割愛です(笑) 今まで書いたことを覚えている方は楽勝の相場です。