一般的に「アメリカ人はあまり貯蓄をしない」と言われますが、最近はそうでもなく、実際のところは増えてきているようです。

一方日本では昨今、若い世代の貯蓄率が低下しています。「江戸っ子は宵越しのお金を持たない」ということわざが伝承されていますが、全く貯蓄がない人も結構な人数にいるようです。

一昔前まで日本人の貯蓄率は世界最高レベルで、世界から羨望の目で見られていたものなのですが・・・。

貯蓄しているとピンチも切り抜けられる

日本人が貯蓄を推奨する理由は、人生のピンチのときのためです。誰でも一度や二度人生のピンチが訪れるものですが、そのとき貯蓄があるのとないのとでは、ピンチを切り抜けられるかどうかに差が出ます。

もちろん、お金はあったほうがピンチを切り抜けられる確率も大幅に高まるでしょう。

また、全く貯蓄がない人は、普段のから目先の利益にとらわれた行動になりがちです。トレードでいえば、わずかな利益を求めて頻繁にトレードを行いたがるようなことです。

一方で貯蓄や資産がたくさんある人は、生活にも余裕がありますし、長期投資のほうが労苦が少なく大きく儲けられることをよく知っています。

大きなトレンドを見極めながら、相場の動向に一喜一憂せずにマーケットを観察することで、結果的に高い勝率で利益を得られることにもつながります。

貯蓄や資産をある程度持つと誰でも、判断や行動のすべてに余裕が生まれます。その結果、たとえピンチのときであっても冷静な判断ができ、目先のことだけ考えるようなことはせず、将来の大きな成功を見据えた行動ができるのです。

この状況を国家単位で考えてみると

日本のGDPの「家計」消費者が担う割合は6割です。アメリカは7割です。この消費者すべてがもし、目先の利益のことばかり考えて行動したとしたら、国家は一体どうなるでしょうか?

目先の利益を狙う人のほとんどが損をして、国の活気がどんどん失われていくことになるでしょう。国民全体が貧乏に向かって走っていくような状態です。

これでは国が衰退していくことになるのも当然です。一方国民一人一人の貯蓄率が高い場合は、行動に余裕がありますから、目先のわずかな利益にこだわるような行動はしません。

ゆっくり構えて、長期で膨大な利益を狙うようになれば、国家にとってもプラスとなります。

貯蓄率が個人の行動を決め、国の将来を決める

「主権在民」と言われることからも、国民が大きな流れに沿って行動することは、国の活性化の重要な要因になります。

GDPにおいて消費者に担う割合が多い国では、個人一人一人の心の余裕となる貯蓄率が行動の基準になり、重要であることになるのです。

貯蓄率が高い国は基本的にピンチに強く、将来も安定している可能性が高いことになります。

「日本の借金」の内訳には「資産」も含まれている

現在の日本政府とその関係機関、そして地方自治体の借金の総計は1100兆円といわれています。うち個人の貯蓄に相当する資産は、国民全体で400~600兆円あるといわれています。

「借金」としてだけ考えた場合、国際基準ではGDPに対する比率で考えます。するとGDPが540兆円の日本の場合、借金が「200パーセント」あることになります。

ちなみにこの数字は、経済危機であると大きく報道され、ユーロ圏各国を巻き込んで国が大混乱したギリシャを抜いており、世界最悪レベルの多さです。

なおこの金額は、世界の一般的な会計基準でいえば確かに「借金」なのですが、借金には「資産の部分もある」ということ、気付いていない方がほとんどだと思います。

借金を資産として考えない評価方法が世界基準になっている理由は、他国では政府が資産をほとんど持っていないためです。しかし日本政府の場合、公務員宿舎はじめさまざまな資産を持っています。

その資産の内訳には年金など売却できないものも含まれますが、日本政府は、借金に分類されてしまう資産を持ちすぎなせいで借金が多く見えるのです。

それなら、売れるものは売ってしまって国家財政を補填すればいいだけなのでは?と思いますよね。しかしこのような考え方を猛烈に反対し売却を阻んでいる人がいるため、国の借金の金額は減っていません。

なお、資産の価値を借金の額から除いたとすると、日本政府の借金は500兆円程度になります。結果GDP比での金額は、「100パーセント」まで低下します。

日本は大丈夫なのか?の話

このような日本の借金の金額や国の財政破綻の話をして、「日本がつぶれる」と言う方がよくいらっしゃいます。しかし、日本はつぶれません。先に述べたとおり、借金の半分は実は、資産であるからです。

先にも述べたとおり、世界のほとんどの国の政府は日本のような資産を持っていません。そして会計基準では資産を資本としてカウントする習慣がありません。

それに比べて日本の国家の貯蓄率は、世界的に見ると異常に高いということになります。

それなら行動に余裕を持って大きく構えていればよさそうなものですが、実際に日本政府がやっていることは、目先の利益にとらわれています。

国会議員にも国益を追い求める考え方が蔓延しています。国益というものは本来、他国に尽くしていれば勝手についてくるもの、ということに彼らは気づいていないのでしょう。

トレードの世界でも、トレード環境を提供する業者が短期売買を推奨して、それが主流になっています。目先の利益を優先させることがよいことのように誘導されてしまっています。本当はよくないことなのに、人々は気付くことができません。

このような日本に将来性を感じられないのは、私だけでしょうか?